農業環境技術研究所 > 刊行物 > 研究成果情報 > 平成24年度 (第29集)

NIAES 施策推進上の活用が期待される成果(主要研究成果)

独立行政法人 農業環境技術研究所

水田の中干し延長によるメタン発生量の削減

ポイント

概要

研究(開発)の社会的背景と研究の経緯

水田土壌由来のメタン *1 は、我が国の人為起源メタン発生量の約 30 %を占めることから、水田は重要な温室効果ガス発生源となっています。また、稲わらなどの新鮮有機物を水田に施用することはメタン発生量を増加させることが知られています。そこで、地球温暖化防止のために、有機物を施用した場合でも、効果的に水田からのメタン発生量を削減する管理技術の開発が求められています。これまでの研究から、水田の中干し *2 を延長することにより、メタン発生量は削減できることが示されています。しかし、どのくらいの期間の中干しが有効であるのか、収量や一酸化二窒素 *3 発生などへの悪影響はないのかなど不確かな点が多く、 普及は進んでいません。そこで全国規模の実証試験を実施し、中干し延長によるメタン発生削減効果とコメ収量変動等への影響を明らかにしました。

研究の内容・意義

活用実績・今後の予定

問い合わせ先など

研究担当者: (独)農業環境技術研究所 物質循環研究領域

主任研究員   須藤 重人
TEL 029-838-8330

用語の解説

その他

発表論文: Itoh, M. et al.: Mitigation of methane emissions from paddy fields by prolonging mid-season drainage. Agric. Ecosys. Environ., 141, 359-372 (2011)

技術マニュアル:「水田メタン発生抑制のための新たな水管理技術マニュアル(改訂版)」、2012 年 8 月、http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/methane_manual.pdf

予算:農林水産省生産局委託事業「水田土壌由来温室効果ガス計測・抑制技術実証普及事業」

図1 全国8県9地区の試験地/図2 熊本県(右上)、福島県(左下)および新潟県(右下)におけるメタン発生量

図3 中干し延長によるメタン発生量(a)、精玄米量(b)、水稲の登熟歩合(c)、精玄米のタンパク含量(d)の変化

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