ダイバーシティ推進 Diversity and Inclusion

元気な農と食を支える、女性研究者たち

酪農の現場で活かされる研究開発をしていきたい

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神谷裕子さん

九州沖縄農業研究センター 暖地温暖化研究チーム
主任研究員

今の仕事(研究)について教えてください

乳牛の栄養生理および飼養管理に関わる研究をしています。主として、周産期(分娩前後の各3週間)の乳牛を対象にし、気候温暖化による影響の評価および栄養管理による対策技術の開発を行っています。

農研機構を選んだ理由は

学生の頃は漠然と生物系の技術開発または実際の農業に近いところで働きたいと考えており、進路選択に当たり、研究者になることを考えました。農研機構(採用当時は農林水産省の研究機関)は基礎研究だけではなく、農業の現場に直ぐに役立つような研究まで幅広く行っており、また研究環境が非常に整っている考え、採用試験にチャレンジしました。

学生時代と今の仕事(研究)とは、どのような繋がりがありますか

学生時代は家畜栄養学講座に所属し、ラットやニワトリを用いて、ミネラルの体内利用性向上に関する研究を行いました。現在も、対象動物は実験動物から乳牛へと変わりましたが、学生時代と同じ家畜栄養という分野での研究を続けています。

仕事の面白さややりがいについて教えてください

周産期の乳牛は、出産を経て泌乳量が急激に増加する時期に当たるため、酪農現場では様々なトラブルが起こり問題となっています。このような時期を、少しでも楽に乗り切れるような飼養管理方法を研究開発することに大きなやりがいを感じます。

今後の仕事(研究)における夢は何ですか

研究により開発させた技術が実際の酪農の現場で活かされるようになることです。

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※写真は発酵TMRの調製乳牛舎で泌乳牛飼料の発酵TMRを調製している様子です。発酵TMRとは牛が必要とする栄養水準が均一に保たれた混合飼料(TMR)をさらに発酵調製し、保存性と流通性を高めた飼料です。

女子学生・ポストドクターへのメッセージをお願いします

学生の頃には、将来どのような仕事をして行きたいのか、しっかりとしたイメージを作りあげることはできませんでした。研究者となった今も試行錯誤しながら一歩一歩進んでいるような状況ですが、研究者となって良かった、充実した日々が送れていると思っています。どうぞ、自分自身の興味を大切にし、いろんなことにチャレンジしてみてください。

仕事と家庭(生活)とのバランスについて、ご自身の考えや工夫されていること

二人の子ども(1歳、3歳)の育児をしながら、仕事を行っています。第1子出産時は、産前産後休暇に加えて育児休暇を一ヶ月取得し、夫が続いて育児休暇を一ヶ月取得しました。第2子の時は産前産後休暇のみです。第1子を出産してまもなく裁量労働制が選択できるようになり、仕事との両立に大変役立っています。

以前は、時間の制限無く仕事をしていましたが、出産後は限られた時間の中で集中し、効率よく仕事を行うように努めています。子どもの病気などで急に休むこともありますが、夫や職場の方々など周囲の助けを借りつつ、何とか仕事も育児も行っている状況です。

(取材日:平成21年12月)