西日本農業研究センター

所長室だより 所長就任にあたって

熊谷所長の写真

日頃より、西日本農業研究センターの研究業務に対するご理解やご協力をいただき厚く御礼申し上げます。令和2年4月1日付けで農研機構西日本農業研究センター所長を拝命しました熊谷 亨(くまがいとおる)です。就任にあたりまして一言ご挨拶申し上げます。

西日本農業研究センターは、平成13年4月に中国農業試験場と四国農業試験場が統合して近畿中国四国農業研究センターが誕生してから20年目、平成28年4月の改称から5年目を迎えました。

近畿中国四国地域は中山間地域が多く、農業生産において平地に比べて不利な条件である上に、農業者の高齢化、担い手不足、過疎化の進行、それに伴う耕作放棄地の増大と地域経済の低迷が続き、極めて深刻な状況となっています。西日本農業研究センターでは当地域における多様な農業の課題解決と地域活性化に向けて、「中山間地域等における持続型営農システムの実現に向けた技術体系の確立」等の研究を推進しています。昨年度からは「スマート農業実証プロジェクト」に当センターも積極的に参画し、中山間水田作等を対象としたスマート技術実証試験を行っています。また、昨年11月に所内に新たに配置した「スマート農業コーディネーター」が中心となり、西日本地域の実施課題、および全国の中山間地域の水田作を対象とした実施課題をサポートし、現場へのスマート農業技術導入を支援しています。この他、中山間地域を対象とした施設園芸研究体制の整備や、多様な資源の価値を評価するための生物多様性研究などの取り組みを強化しているところです。

また、昨年11月には、それまでの企画部を新たに「地域戦略部」とし、農業技術コミュニケーターと産学連携コーディネーターの活動を強化する体制を構築しました。この体制をフルに活用し、開発成果の普及・事業化の加速化や、公設試・指導普及機関との連携をさらに進め、これまで取り組んでいるアドバイザリーボードとともに、地域内の先進的な農業法人、行政、普及関係者の皆様より現場ニーズを収集し、課題解決に向けて取り組んでまいります。

今年度は年度当初から新型コロナウイルス禍の影響を受け、当所でも職員の出勤や出張制限を余儀なくされたところですが、制限が解除されたことにより、今年度が最終年度となる第4期中長期計画の確実な達成に向け努力を続けております。また、中山間地域農業の持続的な発展に向けた今後の研究の方向性、来年度から新たに始まる5年間の中長期計画期間に実施する研究課題の検討も開始したところです。

西日本農業研究センターは、引き続き近畿、中国、四国地域、並びに中山間地域の農業、農村の発展に寄与できるよう、しっかりと取り組んでまいりますので、一層のご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

令和2年7月

国立開発研究法人農業・食品産業技術総合研究機構

西日本農業研究センター所長 熊谷 亨