食品総合研究所

流通工学ユニット

役割

国民の食品に対する要求は、高鮮度志向、安全志向、健康志向など、ますます高度化・高品質化しています。一方で環境保全が極めて重要な課題となっており、高品質・低環境負荷の流通システムの確立が求められています。
このような食料と環境保全に対するニーズに応えるため、生鮮食品の品質管理・保証システムの構築、既存要素技術の評価およびシステム全体の最適化手法、同一品質を保持しながらコスト(費用、環境負荷)を最小化する手法などに関する研究を行っています。
3次元振動シミュレータ室(手前)と5連温湿度制御装置(奥)
3次元振動シミュレータ室(手前)と5連温湿度制御装置(奥)

輸送中の振動を再現するための3次元振動シミュレータ
輸送中の振動を再現するための3次元振動シミュレータ

写真の流通実験棟においては、食品流通時の温度、湿度、振動などの環境条件が品質に及ぼす影響を解明するとともに、品質保持のための技術開発を行っています。

 

主な研究テーマ

3次元輸送シミュレーション法の開発

輸送振動による損傷防止を目的とした緩衝包装設計において実施される振動試験法について、従来の1次元の試験法に替わる3次元の試験法の開発を目的としています。その際、振動波形として、JISで推奨されているPSD波形だけでなく、時間波形、定常波を利用する方法、試験時間を短縮する方法、などについて検討します。

フードサプライチェーンの環境および環境影響の評価

生鮮食品の生産、流通に必要な資材、エネルギー、および環境への負荷に関する定量的データによるライフサイクルアセスメント(LCA)手法に基づく評価に加えて、各種流通環境条件下における品質変動データから得られる物流システムの品質保持効果等を加味した、食品物流システムの評価手法を開発することを目的としています。

青果物の栄養・機能性の維持向上に関する研究

トマト、ニンニク、タケノコなどの青果物について、物流条件、加工・調理条件等が栄養・機能性変化に及ぼす影響を明らかにするとともに、その維持向上を図ることを目的としています。また、機能性・食事バランスDBシステムの開発を行います。

 

メンバー

主任研究員
中村 宣貴(なかむら のぶたか)/専門:食品工学
根井 大介(ねい だいすけ)/専門:食品工学、食品微生物学

 

主要成果

  • 臼田浩幸・椎名武夫・石川豊・佐竹隆顕:青果物の損傷性を考慮したランダム振動試験法の開発、農業施設、37(1)、3-9
  • P. Roy, N. Shimizu, T. Shiina and T. Kimura: Energy consumption and cost analysis of local parboiling processes, J. Food Eng., 76(4), 646-655
  • K. S. Shivashankara, S. Isobe, H. Horita, M. Takenaka and T. Shiina: Volatile aromatic constituents of tree ripened and mature green‘Irwin’mango fruits during low temperature storage, J. Jap Soc. Hort. Sci., 75(3), 209-212 (2006)
  • 臼田浩幸・椎名武夫・石川豊・佐竹隆顕:青果物の3次元輸送振動シミュレーションのための基礎研究、農業施設、36(4)、205-212(2006)
  • T. Shiina, H. Umehara, F. Miyatake, N. Nakamura:The mechanism controlling maintenance of produce initial water content during long-term storage: Exemplification by using garlic Bulb, Act Hotriculturae, 682, 879-885, 2005
  • Mamiko Kitagawa, Hirotaka Ito, Takeo Shiina, Nobutaka Nakamura, Takahiro Inakuma, Takafumi Kasumi, Yukio Ishiguro, Kimiko Yabe, Yasuhiro Ito: Characterization of tomato-fruit ripening and analysis of gene expression in F1 hybrid of the ripening inhibitor (rin) mutant, Physiologia plantarum, 123(3), 331-338 (2005)
  • 宮竹史仁、椎名武夫、田坂行男:既存統計を用いた食品産業の物質フロー解析―茨城県を事例とした地域診断モデルの開発―、システム農学、20(2)、185-192(2004)
  • 小林正秀、岩城邦明、椎名武夫:クリ果実の低温高湿度貯蔵によるクリシギゾウムシの駆除法、森林防疫、52(8)、155-162(2003)
  • 中村宣貴,Darisi Venkata Sudhakar Rao,椎名武夫,名和義彦:CAガス環境下における樹上完熟マンゴーの呼吸特性、日本食品保蔵科学会誌、28(3)、111-117(2002)
  • Yueming Jiang, Takeo Shiina, Nobutaka Nakamura, Arie Nakahara: Electrical Conductivity Evaluation of Postharvest Strawberry Damage, Journal of Food Science, 66(9), 1392-1395(2001)

研究センター