作物研究所

麦栽培マニュアル

ミナミノカオリ

主要特性

  • 製パン適性が良い硬質小麦で、蛋白質含量が高く醤油用にも適する。
  • やや早生で、農林61号より2日早く収穫できる。
  • 倒伏や縞萎縮病に強いが、穂発芽や赤かび病にやや弱い。
  • 大粒で粒質は硝子質、製粉歩留が良い。

ミナミノカオリ

写真左下:1CW(左)、ミナミノカオリ(中)、ニシノカオリ(右)
写真右下:ミナミノカオリ(左)、農林 61 号(中)、ニシノカオリ(右)

作業工程

ドリル播で穂数を確保

ミナミノカオリは穂数が少ないため、ドリル播により穂数を確保して増収。

播種法と穂数

多肥栽培で穂数と収量を確保

ミナミノカオリは短強桿で倒伏には強いが 1 穂粒数と穂数が少ないため、多肥栽培により穂数と収量を確保。
また、パン用としての蛋白質含量を高める。

施肥窒素量(基肥+追肥、 kg/10a )
標肥: 5.0 + 3.5
多肥: 6.7 + 5.0

施肥量と穂数、施肥量と収量

出穂 10 日後の実肥によりパン用として適正な蛋白質含量を確保

灰色低地土では、出穂 10 日後に 6kg/10a の窒素を施用すると蛋白質含量が約 4% 増加し、適正値の 14% 程度に向上。

施肥窒素量(基肥+追肥+実肥、 kg/10a )
実肥無: 5.0 + 3.0
実肥有: 5.0 + 2.0 + 6.0
(大分県農業技術センター)

実肥の有無と蛋白質含量

赤かび病の防除と適期収穫の励行

ミナミノカオリは赤かび病にやや弱いため、穂揃期に薬剤防除を行う。
また成熟期に降雨が続くと穂発芽が多発するため、成熟期の 2 日以降(穀粒水分 30% 以下)に適期収穫。

ミナミノカオリの特性(筑後市)

品種名 成熟期 収量
( kg/10a )
千粒重
( g )
蛋白質含量
(原粒、%)
製粉歩留
(%)
ミナミノカオリ 5月28日 37.5 39.1 10.8 72.3
農林 61 号 5月30日 41.0 36.8 8.9 69.3

穂発芽性と病害抵抗性

品種名 穂発芽性 赤かび病 縞萎縮病 赤さび病
ミナミノカオリ やや易 やや弱 やや強
ニシノカオリ やや弱 やや強 やや弱
農林 61 号 やや弱

ミナミノカオリの製パン適性(筑後市)

品種名 吸水率
(%)
比容積 パンの評点
外観 内相 香り 合計
ミナミノカオリ 66.7 4.22 22.9 26.8 7.5 18.9 76.1
ニシノカオリ 69.5 3.79 22.0 25.9 7.4 18.6 74.0
1CW 67.7 4.09 22.5 27.1 7.5 19.0 76.1

ミナミノカオリの栽培適地

成熟期、収量性等から判断される栽培適地は、関東以西から九州南部である。

栽培適地

研究センター