畜産研究部門

山地放牧ユニット

初夏の親子放牧(黒毛和種)の光景

私たち山地放牧ユニットは、長野県北佐久郡御代田町にある山地放牧研究拠点の唯一のユニットです。過去の草地試験場山地支場時代から、傾斜地という立地条件を生かした放牧研究と、耕作放棄地の解消を目指した小規模移動放牧の研究を行ってきました。

山地放牧ユニットが現在取り組んでいる主な研究課題を、以下に説明します。

*周年親子放牧による肉用子牛生産の省力化・低コスト化技術の開発

繁殖農家の減少に伴って肉用子牛の出生頭数が減少を続けており、肉用子牛の安定供給は喫緊の課題であります。そこで、大幅な軽労化が見込める放牧メリットを最大限に活用するために、中山間地の耕作放棄地を活用した肉用牛親子周年放牧技術を普及させるための技術開発を、草地利用研究領域の他のユニットと協力して行っています。その中で、特に山地放牧ユニットでは、「親子放牧子牛の効率的な増体を支える飼料給与技術の開発」を実施しています。これは、周年親子放牧による高収益システムの存立要件として、発育に優れた付加価値の高い子牛の生産が求められています。ただし、放牧による子牛生産には親牛は泌乳量が乏しく、子牛は牧草と母乳ではエネルギーが不足するという課題があります。そこで、親牛では泌乳量の向上を、子牛ではルーメン機能の賦活化による発育向上を目途とした親子双方への放牧用飼料の開発を行っています。

また、肉用子牛生産者の規模拡大や肉用子牛生産への新規参入を容易にするため、適切な牧草、飼料作物等の組合せにより放牧牛に通年で飼料を供給する技術(通年飼料供給技術)や、野外での安全かつ省力的な栄養状態等の監視を遠隔で行えるようにするシステム(遠隔監視システム)等、肉用子牛生産にICTを活用した省力家畜管理システムおよび周年放牧施設等の必要な各種要素技術の開発にも取り組んでいます。
また、近年使いやすくかつ安価になり普及が進んでいるUAVを利用した、草地の草量推定法や、草地内の強害雑草の検出等の技術開発についても取り組んでいます。


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