消石灰を用いた嫌気的条件を経た豚糞の堆肥化技術


[要約]

豚糞を作業等の都合から7日間嫌気的に堆積すると、低級脂肪酸含有量が増加し、水分調整及び通気をしても堆肥発酵が困難な場合がある。また、この豚糞に消石灰を重量比1~1.5%添加すると通常の堆肥発酵が可能となり、その他の添加効果も認められる。

[キーワード] 豚糞、嫌気、堆肥化、消石灰
[担当] 石畜総セ・飼料環境科
[連絡先] 0767-28-2284
[区分] 関東東海北陸農業・畜産草地
[分類] 技術 ・普及

[背景・ねらい]

養豚農家においては作業の都合等から、豚糞を通気や撹拌など行わずに畜舎に7日程度堆積し、その後に搬出して堆肥化するケースが見受けられるが、この場合、低級脂肪酸臭が強まるなど問題となる。
そこで、豚糞が一時的に嫌気的条件下に置かれた後、堆肥化される際に生じる問題点とその対応策について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 豚糞は7日間嫌気的条件下で堆積されると乾物が約6%消失し、逆に水分含有率は高まる。また、n-酪酸、n-吉草酸は、約5倍に増加する(表1)。
  2. この嫌気豚糞にモミガラを用いて水分60%に調整し通気を行ってもほとんど発酵温度が上がらず堆肥化されない(図1)。この場合、前述の低級脂肪酸はほとんど消失し、酢酸が大量に発生して一層pHが低下する(表2)。
    しかし、この嫌気豚糞に酸性中和を目的に消石灰を重量比1%及び1.5%添加し堆肥化を行うと、新鮮な豚糞と同様に発酵温度が上昇する(図1)。
  3. 堆肥発酵後のECは消石灰添加量が多いほど低い値となり、pHも添加量1%では新鮮豚糞とほぼ同様な値となる(表2)。
  4. 嫌気的条件下での堆積時に易分解性有機物と見られる乾物が約6%消失する(表1)にもかかわらず、消石灰添加で新鮮豚糞と同程度の有機物分解率が得られ、水分蒸発量も増加する(表3)。
  5. 消石灰添加によりアンモニアガス発生量は増加するが、通気開始後数日間に発生する硫化水素の発生量が大幅に減少する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 養豚農家において作業労力の不足や一定量まとめて処理する場合に、堆積された豚糞がうまく堆肥化されない場合に効率的に堆肥化することが可能となる。
    また、施設・機械等の故障で堆肥化作業が中断した場合の再開時においても適用が可能である。
  2. 消石灰添加によりアンモニアガスの発生量が増加するため、添加作業を行う際の換気や周辺住宅地へのアンモニアガスの揮散に十分留意することが必要である。
  3. アンモニアガス発生量が増加して酸性雨の原因となるため、あくまで堆肥化がうまくいかない場合の緊急避難的な技術である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:嫌気的条件を経た豚糞の堆肥化技術

予算区分

:国補(畜総)

研究期間

:2000~2001年度

研究担当者

:高橋正宏、柾木茂彦(畜草研)

発表論文等

:高橋 (2001) 日畜会報98大会号 98


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