乳牛へのイネホールクロップサイレージ給与はチモシー乾草と同等の乳生産が得られる


[要約]

搾乳牛に給与する混合飼料(TMR)の粗飼料源としてイネホールクロップサイレージ(イネWCS)をチモシー乾草の代わりに用いても飼料摂取量、乳生産、血液および第一胃内容液性状は変わらず、イネWCSはチモシー乾草と同等の泌乳効果がある。

[キーワード] 乳牛、イネホールクロップサイレージ、チモシー乾草、乳生産
[担当] 新潟農総研畜産研・酪農肉牛科
[連絡先] 0256-46-3103
[区分] 関東東海北陸農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

水田の高度利用と飼料自給率の向上を目指してイネホールクロップサイレージ(イネWCS)の生産が急速に増加している。そこで、イネWCSの普及定着を図るために、乳牛への給与効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. TMRの主たる粗飼料源として、糊熟期にT社専用収穫機で収穫し、ロールベールサイ レージに調製したイネWCS(品種:コシヒカリ)とチモシー乾草の泌乳効果を比較した。チモシー乾草を乾物で29%混合するチモシー区、半量をイネWCSに置き換える混合区、全量をイネWCSで代替するイネWCS区(表1)を設定し、泌乳牛を用いて飼養試験(供試牛6頭,3×3ラテン方格法)を行った。別に、粗飼料の栄養価を把握するため未経産牛を用いて消化試験を行った。
  2. イネWCSとチモシー乾草は同等のエネルギー価値を持つ(表2)。
  3. TMRの粗飼料源としてイネWCSはチモシー乾草の代わりに用いても、飼料摂取量、乳量および乳成分組成は変わらない(表3)。
  4. イネWCSをチモシー乾草の代わりに用いても血液性状に差はなく、正常値の範囲にある。また、第一胃内容液の性状にも差がなく、発酵は酢酸優先型の安定した状態に保たれる(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 乳牛へ給与するTMRの粗飼料源としてイネWCSを用いる際の指針として利用できる。
  2. 日乳量が40kgを越える乳牛へのイネWCSの泌乳効果については、別途検討する必要がある。

<注釈>
 ・TMR:粗飼料と濃厚飼料を混合した飼料を意味する(total mixed rationの略)
 ・DE:飼料中の消化吸収されるエネルギーを示す単位(digestible energyの略)
 ・TDN:飼料のエネルギー価を示す単位の一つで、国内で最も広く用いられている(total digestible nutrientsの略)

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:乳牛に対する飼料イネTMR給与技術の開発

予算区分

:国委託

研究期間

:2001~2003年度

研究担当者

:関誠、村松克久、長谷川昌信、森山則男、石田元彦(畜草研)

発表論文等

:第99回日本畜産学会大会,2001


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