水田活用による豚尿浄化処理水からの窒素除去


[要約]

水田の脱窒能力を利用した尿浄化処理水の窒素除去は、冬季は温度低下により困難であるが、稲ワラを鋤込むと水稲栽培期間中は平均で水田10ア-ル当たり1日約2キログラムが可能である。茎葉型の飼料稲は浄化処理水を灌水しても倒伏せず、脱窒用炭素源として利用できる。

[キーワード] 浄化処理水、脱窒、水田、飼料イネ
[担当] 群馬畜試・環境飼料部・環境課
[連絡先] 027-288-2222
[区分] 関東東海北陸農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

家畜尿汚水は浄化処理しても排水基準濃度以内の窒素成分が含まれるため、放流先の水量が少ないと水稲倒伏障害等につながりかねない。この対策として、豚尿浄化処理水を休耕田に流入させることによる、脱窒作用を利用した窒素除去能力の評価を試みた。

[成果の内容・特徴]

  1. 2000年10月に倒伏した水稲を鋤込み後の10アールの水田に、できる限り硝化させた豚尿浄化処理水(日平均32トン、全窒素平均120mg/l)を流し込んだ。水田は短辺をシートで3等分し水の流れを方向付けるとともに、それぞれの中央に水稲食用品種の「ひとめぼれ」と茎葉型飼料イネの「はまさり」を栽培した(図1)。
  2. 流入窒素は、冬から春にかけてはアンモニア態、夏から秋は硝酸態が主であり、平均で日3.8kgであった。表面流去水量は平均22トン、全窒素濃度は84mg/lで、日平均1.8kgであった。地下浸透水(作土最下層15cm)は日平均10トンで、夏期にはほとんど窒素を含まないが、冬季には流入水のアンモニア態が硝酸態に変化せず検出されるようになる。水田の窒素除去量は、冬から春にかけて低いが、平均で10アール当たり2kgとなった(図2)。
  3. 「ひとめぼれ」は穂ばらみ期に全部倒伏したが、「はまさり」は全く倒伏せず、収量は2トンであった(表1)。水田の脱窒力はワラなどの有機物鋤込みにより増大する(図4)ので、飼料イネを栽培して鋤込むことが有効である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 休耕田の脱窒作用を利用することにより、尿浄化処理水の窒素濃度を低下できる。
  2. 冬期は、硝化脱窒作用が低下するので水田への灌水をさける。
  3. 水田に茎葉型飼料イネを植栽し鋤込むと、脱窒のための炭素源をより多く確保できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:低コスト尿汚水処理技術の実証

予算区分

:県単

研究期間

:2000~2001年度

研究担当者

:高橋朋子、山田正幸、鈴木睦美、浦野義雄

発表論文等

:なし


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