豚舎汚水の浄化におけるバイオマス有効利用システム
[要約]
豚舎汚水の初沈汚泥をメタン発酵することにより、汚泥中の有機物の減量化及び排水中に含まれるバイオマスからの有効エネルギーの回収を図ることができるが、利用可能な充分な余剰ガス量は得られない。また、充填剤を用いた発酵促進試験では、消化ガスの増加を認めない。
| [キーワード] |
豚舎汚水、初沈汚泥、メタン発酵 |
| [担当] |
静岡県中小家畜試験場・経営環境スタッフ |
| [連絡先] |
0537-35-2291 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・畜産草地 |
| [分類] |
技術・参考 |
[背景・ねらい]
豚舎汚水の好気処理過程で発生する初沈汚泥は、脱水後堆肥化処理を行うのが一般的であるが、これをメタン発酵することによる、排水中に含まれるバイオマスからの有効エネルギーの回収について検討した。また、メタン発酵能力の向上を図るため、充填剤を利用して有効エネルギーの効率的回収を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 図1の処理体系において、豚舎から発生する日平均汚水量は16.3立方m/日で、原水の平均BOD濃度は4,723mg/lでった。メタン発酵槽への投入汚水はスクリーンで固形物を除去後、一時沈殿槽にて沈殿した濃縮汚泥を3回/日投入した。濃縮汚泥の平均BOD濃度は6,965mg/lであり、上澄液の平均BOD濃度は1,137mg/lであった。
- メタン発酵槽(中温発酵・発生ガスによる撹拌方式)の処理能力は、汚水投入量1.19立方m/日、滞留日数15.12日、平均有機物負荷3kg/立方m/日の運転条件の下、汚水処理能力はBODで投入汚水濃度が6,965mg/lに対し、消化液は1,647mg/lで、平均76.4%の除去率であった。また、消化ガス発生状況は、15.6立方m/日で、メタンガス含有率は65%であった(表1)。
- 消化ガスの発生量は、図2に示すとおり、春から夏にかけて減少し、秋から冬にかけて増加する傾向が見られた。これは、豚舎での水の使用量の増減に伴う有機物濃度の変化による影響と考えられた。また、この処理体系においては、投入汚水の高濃度化及び濃度のコントロールは困難であると考えられた。
- 消化ガス中に占める加温ガス量と余剰ガス量との関係は、外気温の最も低い冬期において加温ガス量の割合が増大し、余剰ガス量は全く得られず負の値を示した(図2)。
- 充填剤ウレタンフォームを用いた室内試験では、いずれの試験区においても、滞留日数を短く設定するに従って、有機物1g当たりのガス発生量は次第に低下し、処理効率が低下した。しかし、充填率0%区に比較して、充填率20%、40%の試験区では低下幅が小さく、メタン菌を保持する能力のあることが示唆された(図3)。
- 充填剤を用いた実証試験では、試験例1の場合、ウレタンフォームが浮力により槽内に対流せず、構造的にも対流しない部分の充填剤がパイプを塞ぎ、能力が発揮されないことが判明した。試験例2では、滞留日数15.12日の条件において消化ガス発生量の増加を認めなかった(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本処理体系においては、余剰ガス量の充分な確保は不可能である。
- 充填剤は素材や形状の選択が必要であり、今回の条件設定ではガス発生量の増加は望めない。
- 処理規模を大きくした地域的な処理体系、家畜排せつ物とその他の有機性廃棄物との混合処理体系を想定した基礎調査を行う必要がある。
[具体的データ]





[その他]
| 研究課題名 |
:メタン発酵エネルギー利用の検討 |
| 予算の区分 |
:国庫補助、県単 |
| 研究期間 |
:1999~2001年度 |
| 研究担当者 |
:中村美穂、関哲夫、野町太郎 |
目次へ戻る