尿素処理大麦ワラの交雑種肥育牛への利用


[要約]

麦ワラの有効利用と肉用牛への安全な国内産粗飼料の供給を目的に、尿素処理大麦ワラの肥育牛への給与を行った。稲ワラを給与したものに比べ発育成績、飼料摂取量、枝肉成績に遜色無かった。大麦ワラが肉用牛肥育の粗飼料として十分利用できる事が確認され、未利用粗飼料資源の有効利用が期待できる。

[キーワード] 肉用牛、動物栄養、未利用資源、麦ワラ、尿素処理
[担当] 埼玉農総研・畜産支所・飼養管理担当
[連絡先] 048-536-0311
[区分] 関東東海北陸農業・畜産草地
[分類] 技術・参考 

[背景・ねらい]

肉用牛農家では、口蹄疫の発生以来、安全で安価な国内産粗飼料が強く求められている。
また本県においては、盛んに麦の生産が行われ排出されるワラは、ほとんどは飼料として利用されず、焼却による煙害が環境問題を引き起こし、その有効な利用方法が必要となっている。
そこで、未利用粗飼料資源の有効利用と安全な国内産粗飼料供給を目的に、尿素処理大麦ワラの交雑種肥育牛への給与試験を実施した。

[成果の内容・特徴]

  1. 供試牛として交雑種(ホルスタイン種×黒毛和種)去勢牛6頭を用い、試験区3頭に尿素処理大麦ワラを、対照区3頭に稲ワラを7~26月齢まで、1.5~1.0kg同量(原物)給与し、飼料摂取量、発育性、枝肉成績、枝肉単価について比較した。
  2. 飼料摂取量
    飼料摂取量は、試験区、対照区で大きな差はなかった。肥育前期(7~10月齢)の尿素処理大麦ワラ、稲ワラの摂取量はそれぞれ1日1頭当たり1.5kg(原物)および1.4kg、肥育中期(10~17月齢)は両区とも1.1kg、肥育後期(17~26月齢)は両区とも0.8kgであった(図1)。
  3. 発育性
    発育成績は、1日平均増体量(DG)で若干対照区が優れたものの有意な差はなく、試験区においても十分な増体が得られた(表1)。
  4. 枝肉成績
    枝肉成績は、枝肉等級が試験区A3、B3、B2に対し、対照区は、B2、B2だった。ロース芯面積、バラの厚さ、皮下脂肪厚全て試験区が高い傾向であった。枝肉単価も、平成13年2月8日の大宮市中央食肉卸売市場での価格で、試験区がkg 当たり1,196円、対照区が984円で試験区が高値であった。国内市場の枝肉と比較しても試験区の枝肉成績は、標準的な値と考えられた(表2)。
     以上の結果から、尿素処理大麦ワラは、交雑種肥育の粗飼料として十分に利用できることが確認された。

[成果の活用面・留意点]

  1. 尿素処理大麦ワラの利用については、地域での耕種農家と畜産農家の連携が重要である。
  2. 麦ワラの尿素処理は、33%尿素液を3%、尿素添加式ロールベーラーで添加し、6~12ヶ月間定置処理した。(参考文献:吉田,埼玉県畜産センター研究報告,2,92-96 ,1998.)

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:肉用牛に対する尿素処理麦ワラの給与試験

予算区分

:県単

研究期間

:1998~2000年度

研究担当者

:高田新一郎、吉羽宣明、吉田宣夫

発表論文等

:第99回日本畜産学会講演要旨(2001)


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