黒毛和種肥育牛における圧扁等加工法の違いによるモミの消化性
[要約]
圧扁処理またはサイレージ化(SGS)したモミを黒毛和種肥育牛に給与し、未消化排泄量を調査した結果、圧扁では排泄されなかったが、SGSでは採食量の31~53%が未消化のまま排泄された。また、モミおよびSGSのルーメン内乾物消失率は、圧扁・粉砕および破砕処理により有意に高まった。
| [キーワード] |
黒毛和種肥育牛、モミ加工処理、糞中排泄量、ルーメン内乾物消失率 |
| [担当] |
長野畜試・肉用牛部 |
| [連絡先] |
0263-52-1188 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・畜産草地、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究 |
| [分類] |
技術・参考 |
[背景・ねらい]
近年、水田転作作物として飼料イネの生産および利用が図られ稲発酵粗飼料の利用が推奨されている。一方、子実部(モミ)と茎葉部(ワラ)とを分離した肥育牛への利用も考えられるが、モミ給与の場合その消化性や飯米との区別に問題も多い。そこで、モミの適正な加工処理方法を明らかにすることを目的に、圧扁等加工法の違いによる未消化排泄率およびルーメン内乾物消失率から、モミの消化性について検討した。
[成果の内容・特徴]
- 供試したモミはトドロキワセで完熟期にコンバイン収穫した。未消化排泄率測定に用いたソフトグレインサイレージ(SGS)はそのままポリ樽に容れサイレージ調製した。圧扁は乾燥後飼料工場で1.8mm厚に蒸煮または蒸気圧扁処理した。またモミおよびSGSの加工法の違いによるルーメン内乾物消失率をルーメン内乾物消失率の測定には、上記の圧扁・乾燥モミの2mmメッシュ粉砕およびSGSのハンマー破砕品を用いた。
- SGSと圧扁処理による直腸糞中への排泄量は、SGSでは生糞100g中1.8~4.3gの未消化SGSが直腸糞中に存在したのに対し、圧扁では0.1~0.4gとごく僅かであり、しかもこれらは未圧扁のモミであったことから、圧扁処理ではほとんどが消化されているものと推察された(表1)。
- SGS未消化排泄量の調査は、全糞採取により肥育前期・中期および後期に黒毛和種肥育牛各3頭を用いて水洗法で実施した。未消化排泄割合は、各肥育期それぞれ採食量の30.7、52.7および34.4%で、採食量の約1/3~1/2のSGSが未消化のまま排泄されていた(表2)。
- 未消化排泄されたSGSのデンプン含量と給与前のSGSデンプン含量は全く同レベルで、有意の差は認められなかった。このことから排泄されたSGSは、全く未消化のまま牛の消化管を通過していることが明らかとなった(表3)。
- モミおよびSGSの加工法の違いによるルーメン内乾物消失率を、黒毛和種繁殖雌牛3頭を用いて調査した。モミにおいては、無処理の乾燥モミでは時間の経過による乾物消失をほとんど認めなかったのに対し、粉砕および圧扁処理により乾物消失率は著しく高まり、0~72時間の調査時総てにおいて有意であった。SGSにおいても無処理ではほとんど消失しないのに対し、破砕により有意に著しく高まった(図1)。
- 以上の結果から、モミおよびSGSはモミ殻に傷を付けることで消化性が向上し、圧扁・粉砕・破砕等の加工処理により、肥育牛の飼料として利用できる。
[成果の活用面・留意点]
- モミを圧扁加工する場合には、モミ殻が分離しやすいので、蒸気加熱時間を長くし、圧扁厚を厚めとする。
- SGSを肥育牛に利用するためには、収穫調製時にモミ殻へ傷を付ける等の処理方法の検討が必要である。
[具体的データ]




[その他]
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研究課題名
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:加工処理法の違いが産肉性に及ぼす影響の解明
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予算区分
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:国補(地域基幹)
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研究期間
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:1999~2001年度
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研究担当者
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:伊藤達也、井出忠彦、宮脇耕平
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発表論文等
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:長野県畜産技術発表集(投稿中)
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