WCS用イネの生育にともなうβ-カロチン含量の推移


[要約]

WCS用イネのβ-カロチン含量は、生育の進行にともない低下し、特に乳熟期から黄熟期にかけて急激に低下する。また、中国146号における地上部のβ-カロチン含量は、葉部のβ-カロチン含量の減少にともなって低下する。

[キーワード] WCS用イネ、β-カロチン、ビタミンA、中国146号、乾物重量割合
[担当] 三重科技セ・畜産研究部・大家畜グループ
[連絡先] 0598-42-2029
[区分] 関東東海北陸農業・畜産草地、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

家畜の飼料生産の向上と米の計画的な生産調整を図ること、さらに水田の有効活用という面からもWCS用イネに寄せられる期待は年々高まっている。β-カロチンはカロテノイドの中で最もプロビタミンA活性が高く、ビタミンAの供給源として家畜の栄養面、繁殖面に関して重要であるとともに、ビタミンA制御による肉用牛肥育体系にも深く関与し、肉の脂肪交雑を改善するという面からも重要な物質である。これらのことから、ビタミンA制御を前提とした肉用牛肥育体系にWCS用イネの導入を図るためには、WCS用イネに含まれているβ-カロチン含量を把握することが不可欠である。
そこで、WCS用イネの生育にともなうβ-カロチン含量の推移を明らかにするとともに、地上部に対する部位別のβ-カロチン含有量の影響についても検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 供試したWCS用イネ(5品種)の全ての品種において、生育ステージの進行にともないβ-カロチン含量は低下する。また、各品種とも穂揃期から黄熟期にかけてβ-カロチン含量は急激に低下するが、黄熟期以降の低下は緩慢となる(図1)。
  2. 中国146号を供試した場合も同様に、地上部のβ-カロチン含量は生育の進行にともない低下する。特に乳熟期から黄熟期にかけて急激に低下し、さらに成熟期までは緩慢な低下が続くが、その後、成熟後7日間を経過してもβ-カロチン含量の低下は少ない(図2)。
  3. 中国146号の生育ステージ別における乾物重量割合は、生育の進行にともなう子実の充実により、穂部の割合が増加し茎葉部の乾物重量割合は減少するが、特に葉部の各生育ステージをとおした乾物重量割合は低く、全体の20%以下である(図3)。
  4. 各生育ステージをとおして乾物重量割合が低い葉部は、β-カロチン含有割合においては地上部の大部分を占めており(図2)、生育ステージの進行にともなうβ-カロチン含量の変化に大きく関与している。
  5. 地上部β-カロチン含量の大部分を占める葉身部においては、葉位が上位になるにしたがいβ-カロチン含量は高くなる傾向がある。このような傾向は各生育ステージにおいて認められる(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 稲発酵粗飼料給与牛の栄養ならびにビタミンA制御を前提とした肉用牛肥育体系に適した収穫時期の目安を示す情報として活用できる。
  2. WCS用イネの生育ステージと部位別のβ-カロチン含量の関係を明らかにしたことから、肉用牛肥育飼料としての育種目標の参考資料として活用できる。
  3. β-カロチン含量は品種、作期、地域条件、気象条件等により異なる可能性がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :飼料イネに対応した省力的生産・調製・利用技術の確立
予算区分 :国補(地域基幹農業技術体系化促進研究)
研究期間 :2000~2003年度
研究担当者 :平岡啓司、小出勇、田中善之、浦川修司、山田陽稔、神田幸英、小西信幸
発表論文等 :平岡(2001).平成13年度自給飼料品質評価研究会資料:29-35.

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