「はるみ」、「不知火」の幼木における春肥の吸収移行特性
[要約]
春肥の吸収効率は「はるみ」が「不知火」より高く、その原因は細根量の多少によるものと推定される。また、吸収された窒素は、「不知火」では旧葉などの旧器官にもかなり移行するのに対し、「はるみ」では春葉等の新器官への比率が高い特性を有する。
| [キーワード] |
はるみ、不知火、春肥、吸肥効率、移行 |
| [担当] |
静岡柑橘試・栄養研究室 |
| [連絡先] |
0543-34-4852 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・果樹 |
| [分類] |
科学・参考 |
[背景・ねらい]
新中晩柑の「はるみ」と「不知火」は、食味は良いものの樹勢が弱く、生産量が不安定である。そこで地上部の生育がほぼ同じ3年生の幼木(25lポット植栽)を用い、吸肥特性と移行特性について15Nを使って調査し、樹勢強化対策の基礎資料とする。
[成果の内容・特徴]
- 葉中窒素における3月30日に施用した15Nの寄与率の推移をみると、両品種ともに日数の経過につれて旧葉で微増することから吸収された窒素は旧葉に徐々に蓄積すること、発芽後は春葉での寄与率が旧葉に比べて高く推移することから窒素は春葉へ優先的に移行すること、特に「はるみ」でその傾向が強いこと、などが考えられる(図1)。
- 解体調査の結果、両品種ともに吸収された窒素は約8割が地上部に移行し、春葉や果実、地下部では細根などの新器官に多く分配され、既往の温州みかんでの報告と概ね同様の結果を得た。しかしながら「不知火」では旧葉などの旧器官にもかなり移行するのに対し、「はるみ」では新器官への比率が高く、新器官による養分吸引力が強いと考えられる(表1)。
- 春季90日間での窒素の総吸収量は「はるみ」のほうが「不知火」より多く、窒素の吸収効率は「はるみ」のほうが優れる(表1)。「不知火」は細根の乾物重が少なく、細根乾物あたりの吸収量は「はるみ」と差が小さいことから、窒素の吸収量の多少は細根量の影響によるものと推定される(表2)。
- 落花・落果中の15N寄与率が比較的高かったことから、着花が多く生理落果が多い場合は吸収した窒素の他器官への移行を阻害されることが懸念される(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 「はるみ」の幼木で5月下旬~6月上旬に葉が黄化する場合は、葉中窒素の急激な減少が確認された(15N処理後60~70日後の旧葉)ことから、その前に葉面散布または施肥により、窒素の補給をする。
- 「不知火」では肥効を高めるために細根量を増やす管理をする。
[具体的データ]



[その他]
| 研究課題名 |
:地域特産カンキツの肥培管理による高品質安定生産技術の確立 |
| 予算区分 |
:地域基幹農業技術体系化促進研究 |
| 研究期間 |
:1999~2002年度 |
| 研究担当者 |
:杉山泰之、梅宮善章(農研機構果樹研) |
| 発表論文等 |
:なし |
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