静岡県のおうとう、うめ、にわうめに発生した細菌性せん孔症状


[要約]

近年、静岡県内のもも産地で多発傾向にあるももせん孔細菌病多発園周辺のおうとう、うめ、にわうめに見られるせん孔症状の病原はももせん孔細菌病と同種の菌である。

[キーワード] おうとう、うめ、にわうめ、せん孔症状、ももせん孔細菌病
[担当] 静岡柑橘試・病害虫研究室
[連絡先] 0543-34-4854
[区分] 関東東海北陸農業・果樹
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]

静岡県のもも産地では1998~1999年にかけてせん孔細菌病が多発し、激発ほ場では収量が2割に落ち込んだ所もあった。また、同周辺のおうとう(中国おうとう)、うめ、にわうめでも類似のせん孔症状が発生し、ももせん孔細菌病との異同が問題となった。そこで、これら病斑から病原菌を分離し、ももせん孔細菌病菌との比較を行った。

[成果の内容・特徴]

  1. 1998年に県下のもも産地9カ所において、ももせん孔細菌病の発生状況調査を行ったところ、いずれの地区でも25~50%の発病株率であった。
  2. 由比町のもも園周辺のおうとう、藤枝市のもも園周辺のおうとう、うめ、にわうめで、ももせん孔細菌病に類似のせん孔症状が認められた(表1)。病斑は主に葉や枝にみられ、葉では斑点やせん孔症状、枝では斑点症状がみられた。
  3. おうとう、うめ、にわうめの病斑から常法により菌の分離を行ったところ、各病斑から黄色細菌のみが分離され、対照のももせん孔細菌病菌とともに噴霧接種を行った結果、ももやそれぞれの分離果樹の葉に同じ病徴が再現された(表1)。
  4. おうとう分離菌4菌株、うめ分離菌3菌株、にわうめ分離菌5菌株に、比較対照として同定済みのももせん孔細菌病菌(Xanthomonas campestris pv. pruni、静岡大学より分譲)を用いて、27項目の細菌学的性質を検査したところ、いずれもももせん孔細菌病菌と性状が一致した(表2)。
  5. おうとう、うめ、にわうめ分離菌はももせん孔細菌病菌の特異的プライマーXPFおよびXPR(川合ら、1999)を用いたPCRにより、ももせん孔細菌病菌と同じサイズ(422bp)のバンドが検出された(図1)。
  6. おうとう、うめ、にわうめ分離菌は病原性、細菌学的性質およびPCR試験の結果から、ももせん孔細菌病菌と同種のXanthomonas campestris pv. pruniであることが判明した。

[成果の活用面・留意点]

  1. ももせん孔細菌病の防除に当たっては、伝染源となる周辺のおうとう、うめ、にわうめのせん孔症状の発生にも注意を払う。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :ももせん孔細菌病の発生生態の解明と防除法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999~2001年度
研究担当者 :加藤光弘、太田光輝、瀧川雄一(静岡大学)
発表論文等 :加藤ら (2000) 日植病報 66(2):131.

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