ぶどう「安芸クイーン」の暗赤色果粒発現と果皮のアントシアニン


[要約]

赤色系ぶどう「安芸クイーン」における暗赤色果粒の発現は、果皮のアントシアニンの組成変化によるものではなく、果皮にアントシアニンが多く蓄積することにより生ずる。

[キーワード] 安芸クイーン、暗赤色果粒、果皮、アントシアニン
[担当] 三重科技セ・農業研究部・伊賀農業研究室
[連絡先] 0595-37-0211
[区分] 関東東海北陸農業・果樹
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]

三重県では全国に先駆けて赤色系ぶどう「安芸クイーン」を導入して産地化を図っている。しかし、品種特性である鮮赤色ではない暗赤色の果粒が多く発現し、着色が安定しないことが問題となっている。そこで、果皮のアントシアニンを同定するとともに、果色の異なる「安芸クイーン」果皮のアントシアニンを比較した。さらに、アントシアニンの色調を青色化(コピグメンテーション)する可能性のあるフラボノイドを分析し、これらと暗赤色果粒発現の関係について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 「安芸クイーン」における果皮のアントシアニンはpeonidin系が最も多く、次いで malvidin系、cyanidin系である(図1)。
  2. 「安芸クイーン」における鮮赤色果粒の果色(色相角度)は赤~橙を示すのに対し、暗赤色果粒の果色は赤~紫を示す。「安芸クイーン」果皮のアントシアニン含量と果色には有意な負の相関関係が認められ、果皮のアントシアニン含量が約0.4μg/mm2より大きくなると、暗赤色果粒が発現する(図2)。
  3. 「安芸クイーン」果皮のアントシアニン組成は、暗赤色果粒と鮮赤色果粒で明らかな差は認められず、アントシアニン組成の変化が暗赤色果粒の発現に関与している可能性は小さい(図3)。
  4. 「安芸クイーン」果皮の主要なフラボノイドはquercetin 3-glucosideとquercetin 3-glucuronideの2種類である。フラボノイドはアントシアニンに対する含有量の割合が増すとアントシアニンの色調を青色化する可能性があるが、アントシアニンに対するフラボノイドの量的割合が低いほど暗赤色果粒が発現したことから(図4)、これらのフラボノイドがアントシアニンのコピグメントとして暗赤色果粒の発現に寄与している可能性は小さい。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「安芸クイーン」果皮のアントシアニン含量を適正に調節する栽培管理方法を確立するための基礎的知見となる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :ブドウ新品種の選別と栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000~2001年度
研究担当者 :西川 豊、北村八祥、近藤宏哉(伊賀農業研究室)、中村真義、腰岡政ニ(農研機構花き研究所)
発表論文等 :北村ら(2000)、園学雑、69(別2)、281

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