ジャスモン酸メチルの大麦の開花受粉抑制作用


[要約]

ジャスモン酸メチルを大麦の開花直前に処理すると、開花が抑制され閉花受粉となる。本作用は大麦の花粉飛散抑制につながることが期待できる。

[キーワード] 大麦、閉花受粉、ジャスモン酸メチル、開花抑制、冬作物、生理、麦類
[担当] 作物研・麦類研究部・麦類栽培生理研究室
[連絡先] 0298-38-8869
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]

大麦などのイネ科植物は通常、受粉時に開穎し花粉を外部に飛散させる。この性質のために、将来遺伝子組み換え作物などを作成した場合、近傍の類縁植物にその遺伝子が拡散することが予測される。そこで、大麦の花粉飛散防止方法として、大麦の開花受粉性を化学的に制御する方法について検討した。

[成果の内容・特徴] 

  1. 開花前の大麦の穂をジャスモン酸メチル水溶液で処理すると、濃度依存的に開花が抑制される(図1)。
  2. 圃場条件で開花期に最も近い時期にジャスモン酸メチルを処理した場合、切穂処理に比較して効果が劣るものの、100ppm以上の処理で開花受粉が抑制される。即ち、ジャスモン酸メチルの開花受粉抑制効果は圃場レベルでもある程度認められる(図2)。
  3. デヒドロジャスモン酸類縁体の効果はジャスモン酸類縁体より弱い。一方、ジャスモン酸類縁体の多くはジャスモン酸メチル同様の高い効果を示す。このうち、ジャスモン酸メトキシエチルエステルは最も高い効果を示す(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 大麦の開花直前の処理が最も効果的で、早い時期に処理すると効果が劣る。
  2. ジャスモン酸メトキシエチルエステルの圃場での効果は未検定である。
  3. 圃場での100ppm以上のジャスモン酸メチル処理では稈長が短くなる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :イネ科植物の閉花受粉性を利用した花粉飛散防止技術の開発
予算区分 :新雑草防除
研究期間 :1997~2000年度
研究担当者 :本多一郎、瀬戸秀春(理研)
発表論文等 :1)本多ら、イネ科植物の花粉飛散防止方法 (2000)、特開平11-288173
  2)本多ら、ジャスモン酸類縁体の大麦開花受粉阻害活性(2000)、植化調発表記録集:27-28

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