愛知県ダイズ作におけるシグモイド型被覆尿素の追肥効果
[要約]
開花期に肥効があるシグモイド型被覆尿素を中耕時に追肥すると、分枝莢数の増加及び百粒重の低下防止により極めて高い増収効果がある。この効果は、低収ほ場ほど高く、300kg/10a以上の多収ほ場では小さい。
| [キーワード] |
ダイズ、シグモイド型被覆尿素、中耕時追肥、分枝莢数、百粒重、増収 |
| [担当] |
愛知農総試・作物研究所・栽培研究室、環境研究室 |
| [連絡先] |
0561-62-0085 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物 |
| [分類] |
技術・普及 |
[背景・ねらい]
ダイズ作施肥は、根粒菌による窒素固定の阻害、生育過剰によるまん化、倒伏などのマイナス面が考えられ、本県主要作地帯における農家の施肥意識は低く、無施肥栽培が慣行栽培となっている。そこで、主要作地帯の洪積土壌において、開花期に肥効があるシグモイド型被覆尿素の中耕時追肥効果を明らかにし、多収栽培を実現する。
[成果の内容・特徴]
- 速効性肥料(硫安)による追肥時期別の総窒素吸収量は開花期施肥処理で最も大きくなり、特に、分枝の子実で大きくなる。分枝発生期及び開花20日前処理では無処理より窒素吸収量は小さくなる。(図1)。
- 開花期追肥として中耕時に施用する肥料は、シグモイド型40日タイプ被覆尿素とリニア型100日タイプ被覆尿素を窒素配合比で8:2に配合したもの(以下、シグモイド型被覆尿素と言う。)である。リニア型100日タイプ被覆尿素は施用直後より溶出し、栽培期間をとおして肥効が継続する。シグモイド型40日タイプ被覆尿素は施肥2週目頃から溶出量が増し、開花期頃にピークを迎える。その後暫減し、成熟期にはほとんど残らない(図2)。
- シグモイド型被覆尿素を中耕時(6葉期)に窒素成分で8~10kg/10a施肥すると、最高で57%(118kg/10a)増収し、平均で26%(74kg/10a)と極めて高い増収効果がある(表1、図3)。
- 現地ほ場を無施肥栽培の収量で300kg/10aを基準とし、低収ほ場、多収ほ場に区分すると、低収ほ場の増収効果は28%と大きいが、多収ほ場は8%と小さい(図3)。
- シグモイド型被覆尿素の中耕時追肥による増収は、分枝莢数の増加及び百粒重の低下防止による。また、分枝莢数の増加は、分枝数の増加によらない(表1、図4)。
- 主茎長、節数、分枝数は無施肥と同等で、本施肥が生育過剰を招くことはない(表1)。
- 品質は、大粒比率が高まり、子実蛋白含量の低下も見られず向上する(表1)。
- 窒素吸収量は、茎莢部においては無施肥と変わらないが、子実部は高まる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 本試験は愛知県西三河洪積地帯における品種フクユタカの評価であり、沖積地帯での効果は未確認である。
- 肥料コストは大幅に高まる。しかし、増収程度及び現状での大豆の収益性を考慮すると、十分な経済的効果が見込める。
- 施肥量については、当面8~10kg/10aとするが今後検討する必要がある。
[具体的データ]


図2 被覆尿素からの窒素溶出
表1 シグモイド型被覆尿素の中耕時追肥が生育・収量に与える影響



[その他]
| 研究課題名 |
:高品質・多収小麦・大豆体系の総合化研究 |
| 予算区分 |
:県単 |
| 研究期間 |
:2001~2004年度 |
| 研究担当者 |
:谷俊男、池田彰弘、武井真理、濱田千裕、落合幾美、釋一郎 |
| 発表論文等 |
:日本作物学会第213回講演会発表予定 |
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