水稲の千鳥密植・深水管理による無除草剤栽培
[要約]
条間16.5cm×株間20cm、植え付け本数6~7本/株の千鳥密植とノビエ発生始期~移植後50日の水深10cmの深水管理を組み合わせることで、除草剤を施用しなくても雑草の発生を軽減でき、慣行栽培と同等の収量、品質を得ることができる。
| [キーワード] |
水稲、千鳥密植、深水、無除草剤栽培 |
| [担当] |
茨城農総セ農研・水田利用研究室 |
| [連絡先] |
0297-62-0206 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物 |
| [分類] |
技術・参考 |
[背景・ねらい]
環境保全や消費者の安全志向から無農薬栽培に対する関心が高まってきているが、中でも雑草防除は大きな課題である。そこで、無農薬栽培の一環として、除草剤によらない省力かつ安定的な栽培技術を開発するため、千鳥密植・深水栽培の実用性について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 千鳥密植・深水栽培は4葉期からの深水による分げつ抑制効果で慣行栽培に比べて茎数がやや少なく推移する。しかし、草丈、LAI(葉面積指数)及び田面の被覆度は慣行栽培を上回り、雑草に対する遮蔽効果が高い(表1)。
- 千鳥密植・深水栽培の雑草発生量は、除草剤を使用した慣行栽培に比べ多いものの、連年栽培による発生量の増加はない(図1)。
- ノビエは5月初旬に発生するが、発生始期からの深水により消失する。一方、コナギ、アゼナは深水開始により急激に発生するが、稲の遮蔽効果により生育速度は緩やかである。キクモは6月上旬に発生し、深水管理を続けることで生育量が増大し、登熟期には発生雑草のほとんどを占める。この傾向は試験を実施した3年間変わらない(図2)。
- 千鳥密植・深水栽培の植え付け本数は、慣行栽培より多い6本/株区で雑草に対する遮蔽効果が高く、雑草発生量が少ない。また、6本/株区では穂数の増加により、慣行栽培と同等の収量が得られる(表2)。
- 深水開始時期は、成熟期におけるノビエの個体数からみてノビエ発生始期が適当である。また、深水終了時期は移植後50日とすることで、雑草発生量が慣行栽培並となる。この原因としては、中干しの実施によりキクモの発生量が減少したためと考えられる(表3)。
- 千鳥密植・深水栽培の収量は慣行栽培とほぼ同等である。また、千粒重、整粒歩合、白米粗タンパク含量からみた品質も慣行栽培と変わらない(表2、表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 千鳥密植には生研機構で開発された千鳥密植田植機が必要であり、市販化が望まれる。なお、移植精度は慣行の田植機と同等であるが、湛水状態では欠株や浮き苗が発生しやすいので、落水~ひたひた水状態で移植する。
- 雑草発生量が比較的少ない4月下旬稚苗移植における3年間無除草剤栽培の結果であり、クログワイ、オモダカなどの発生が多い圃場では適用できない。
- 単位面積当たりの苗箱数は密植栽培のため慣行栽培(乾籾160g/箱)に比べて2倍程度に増加する。
- 深水管理を徹底するため、畦畔の漏水対策は必ず行う。
[具体的データ]





[その他]
| 研究課題名 |
:千鳥密植による無除草剤栽培技術の開発 |
| 予算区分 |
:県単 |
| 研究担当者 |
:田中研一、狩野幹夫 |
| 研究期間 |
:1999~2001年度 |
| 発表論文等 |
:なし |
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