大型収穫機を導入するための飼料イネの水管理法


[要約]

飼料イネの収量を確保し、水田の地耐力を高め、飼料イネを大型機械で収穫するための土壌硬度を得るには、通常の中干後、乳熟期収穫では「幼穂形成期後から出穂始までの節水+穂揃期の落水」が、黄熟期収穫では「出穂12~18日後の落水」がよい。

[キーワード] 飼料イネ、乳熟期収穫、黄熟期収穫、水管理、土壌硬度、乾物収量
[担当] 長野農事試・作物部
[連絡先] 026-246-9783
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

飼料イネの収穫には、現状では畜産農家が所有しているトラクター牽引の大型収穫機が用いられる場面が多く、軟弱な水田では作業機が沈み、効率的な収穫作業ができない。このため、早期落水により収穫時の水田の地耐力(土壌硬度)を高める必要がある。しかし早期落水は、イネの生育を阻害し、生産量の低下が懸念される。
このため、飼料イネの生産量を落とさず、大型機械による効率的な収穫作業を可能とする土壌硬度を得るための、水管理方法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 飼料イネの乳熟期収穫作業に支障がない土壌硬度を得るには、「中干し」+「幼穂形成期後~出穂始期節水(4日おきに水深2cm程度の間断潅水)」+「穂揃期落水」を組み合わせた水管理が有効である(図1)。
  2. 上記の水管理法は稲の生育・収量にはほとんど影響がみられず、乳熟期収穫で中干後の湛水区と同等の乾物収量(1.2~1.3t/10a)が得られる(図3)。
  3. 飼料イネの黄熟期収穫作業に支障がない土壌硬度を得るには、出穂14日~18日後からの落水が有効である(図2)。
  4. 黄熟期収穫では、出穂7日後からの落水は28日後落水に比べ5%程度の減収が認められたが、出穂12日以降の落水は年により年次変動はあるものの、28日後落水とほぼ同等の乾物収量(1.5~1.9t/10a)が得られる(図4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は長野県農事試験場(中粗粒グライ土・乾田)での結果であり、これより排水性の悪い圃場条件ではさらに強い節水・中干や落水期を早める必要があるが、この場合は減収することもある。
  2. この試験はいずれもイネ6葉から8日間の中干(長野県湛水直播栽培の標準的な中干)と、イネの受粉を確保するため出穂始から穂揃期までは湛水条件で実施した。
  3. 落水期以降は、排水溝の設置により雨水等の速やかな排水につとめる。
  4. 大型機械による収穫作業に支障がなく、効率的作業に最適な目標土壌硬度を、土壌抵抗測定器(SR-2)による矩形板沈下量で0cm(1969、農業技術会議、トラクターの走行基準、ホイル型プラウ耕作業容易範囲)として検討した。
  5. 土壌硬度の測定には携帯性がよく、一人でも測定が可能な山中式平板土壌硬度計が便利で、土壌抵抗測定器(SR-2)による矩形板沈下量は、「13.8-0.47×(平板土壌硬度計指示値)」で推定が可能で、平板土壌硬度計指示値が30以上あれば矩形板沈下量を0cmとする土壌表面硬度が得られる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :飼料イネの中山間地帯における省力生産・調製・利用技術の確立
予算区分 :地域基幹
研究期間 :1999年~2001年度
研究担当者 :谷口岳志、斎藤稔、酒井長雄、土屋学
発表論文等 :長野県(2002)試験して得られた技術事項

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