バッテリー式作業車を利用したパンジーの省力移植技術


[要約]

パンジーの定植作業を省力するため、ダイコン間引き用のバッテリー式作業車に、植え穴開口ロールを取り付け、作業車に乗りながら定植する作業技術を開発した。この方式によると、慣行の2倍の能率で1時間当たり2,000株の定植が可能になる。

[キーワード] パンジー、省力、バッテリー式作業車、定植作業
[担当] 神奈川県農業総合研究所・生産技術部
[連絡先] 0463-58-0333
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・作業技術
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

パンジーは、本県の花壇苗生産の主要作目であり、古くから川崎・横浜市を中心に栽培が行われている。栽培方法は、育苗した苗を人力定植して収穫時に掘り取る慣行の地掘り栽培と、セル成型苗を直接ポットに定植するポット栽培の2方式で行われている。慣行栽培は、花壇定植後の生育が良く、品質面で優れているものの、10a当たり50,000~60,000株を定植する重労働な作業があり、作業の省力化が求められている。
実用化されている野菜用移植機では、パンジーの植え付け条件・移植苗質から適応が困難のため、ダイコン用間引き作業車の一部を改良して、作業車に乗り能率的に定植する作業方法を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. バッテリー式作業車は、畝をまたぎ、走行する簡易な乗用型で、車輪前部に植え穴付けロールを取り付け、植え穴に人力で定植する。植え穴の位置は、定植が人力作業のため、条間と株間の狭い条件にも対応できる。
  2. 植え穴付けロールの製作は、塩ビ製パイプの両端をラワン材で固定し、中央にベアリングを取り付け、鉄棒を車軸とする。植え穴の付け部の製作は、パイプの任意位置にドリルで開口し、木製の棒を差し込み、接着剤で固定する(図1)。
  3. 作業は、図2に示すとおり、苗とり・選別された苗を両手もしくは片手で植え穴に入れ、手で覆土する。慣行定植と同様な植え付け姿勢を確保できる。
  4. 作業機は、パンジー苗すべてに適用できる。は種日が同じであれば、育苗方法、苗の大きさが違っていても作業能率は変わらず、1時間当たり2,000株をこえる植え付けができる。植え付け株間、植え付け姿勢とも良好である(表1)。
  5. バッテリー式作業車改良による1a当たりの定植作業は5.6時間、人力定植に対し、作業能率は2.2倍に向上する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 植え穴付けロールの製作は容易であるため、条間・株間の狭いタマネギの植え付けもでき、他作目への汎用利用が可能である。
  2. 平坦圃に適用する。人力での定植であるため、定植前は、良く砕土すること。
  3. バッテリーは、8時間作業につき3A充電機で10時間程度の充電が必要である。

[具体的データ]

図1 バッテリー式乗用型作業車の仕様

型式 

TD2542G12F-10G60F(T商会)

高さ×幅×長さ

925mm×700mm×1,600~1,880mm

速度 

0~1.3km/h(前・後進とも)

操舵方式

フット式

質量 

49kg バッテリー12V-24A

輪距×軸距

750mm×1,350~1,410mm

変速段数、クラッチ 前・後進各無段階、ピン方式
(植え穴付けロール:条間15cm、株間15cm設定)
ロール:塩ビパイプ製
長さ×直径(厚さ)650mm×165(5)mm
植え穴付け:丸棒(木製)
        (長さ×直径:50mm×16mmφ)
丸棒取り付け位置
  1列5本(間隔150mm)
  各列72°位置に計5本取付け

       図2 現地での作業風景

[その他]

研究課題名 :花きの省力移植技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998~2001年度
研究担当者 :土屋恭一、杉山嘉信、深山陽子、衣巻巧

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