太陽熱処理及び肥効調節型肥料の利用による秋冬にんじんの減肥・減農薬栽培技術


[要約]

秋冬にんじん作付前の透明プラスチックフィルムマルチによる太陽熱処理で、播種後約一ヶ月間は除草剤施用と同等の雑草抑制効果があり、資材の再利用により生産費は慣行技術に優る。また、肥効調節型肥料を太陽熱処理開始時に施用することで、施肥量を50%削減しても標準施肥栽培とほぼ同等の内部品質と正品収量が得られる。

[キーワード] にんじん、太陽熱処理、雑草抑制、肥効調節型肥料、品質、収量
[担当] 中央農研・耕地環境部・作付体系研究室
[連絡先] 0298-38-8532
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

近年、化学肥料・農薬の使用を控えた野菜に対する消費者・実需者のニーズが高まっている。また、地下水等への硝酸・亜硝酸性窒素に伴う負荷量の低減を図る施肥法の確立・普及が求められている。そこで、茨城県南部における露地野菜生産地帯において、太陽熱処理及び肥効調節型肥料の利用による秋冬にんじんの収量及び品質の影響を明らかにし、農薬及び化学肥料の施用量削減を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 畝表面をポリマルチで約一ヶ月間被覆する太陽熱処理は、にんじん播種後約一ヶ月まで慣行の無被覆・除草剤使用と同程度に雑草の発生を抑制する。しかし、太陽熱処理後約二ヶ月では雑草発生抑制効果が低下する(表1)。
  2. 太陽熱処理を行い、かつ肥効調節型肥料を利用して窒素とリン酸の施用を半量(NP半量太区)にした場合は、標準施肥及び窒素とリン酸半量施用(NP半量区)に比べてにんじんの全収量は有意に多くなるが、シミ腐れ等の非正品の割合が増加する傾向があるため、正品収量は標準施肥とほぼ同等である(表2)。
  3. にんじんの全糖含量、ブリックス、硝酸態窒素含量、還元型ビタミンC含量及びβ-カロテン含量及び明度や彩度には処理間による有意差は認められない(表3)。
  4. 化学肥料の窒素及びリン酸施用量の半減及び除草剤や土壌消毒剤の使用量の削減により、環境への負荷が軽減される。
  5. 秋冬にんじん栽培において、太陽熱処理技術の導入による10a当たり単年度の生産費及び労働時間は慣行技術に比べそれぞれ1,452円、8.02時間多いが、マルチ資材の再利用により生産費は7,298円抑制できる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本試験の標準施肥量は茨城県耕種基準に準拠(N-P2O5-K2O=25-15-25kg/10a)。
  2. 土壌は腐植質普通黒ボク土で、深さ60cm迄の無機態窒素放出量が、年間13kg/10a程度の場合に適用。
  3. にんじんは'向陽2号'を用い、栽植密度は33,333本/10a。除草剤はベンチオカーブ・プロメトリン粒剤を2kg/10a、土壌消毒剤はダゾメット粉粒剤を100kg/10a散布。
  4. 太陽熱処理後約二ヶ月目からは、手取り等の除草が必要である。
  5. 秋冬にんじん作付前の太陽熱処理のため処理期間は、梅雨期後半から梅雨明け一週間程度ということで、気象の年変動により、太陽熱処理効果が出ない年もあり得る。
  6. 土壌消毒を行わない場合、太陽熱処理によりシミ腐れの割合が多くなるので注意する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:栽培条件の違いによる減化学肥料・減農薬栽培の品質特性の変動の解明

予算区分

:関東平野高品質野菜、交付金

研究期間

:1997~2001年度

研究担当者

:片山勝之、三浦憲蔵、皆川望、徳田博美

発表論文等

:1)片山ら(1999)日作紀講要 68(1):46-47.
  2)片山ら(2000)日作関東支報 15:44-45.


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