簡易な小型トンネル被覆による7月どり根深ネギの安定生産技術


[要約]

連結ペーパーポット苗などの稚苗を用いた夏どり根深ネギ栽培において、定植直後から4月中旬にかけて厚さ0.03mm、幅115cmのポリオレフィン系フィルムで一畦ごとにトンネル被覆することで初期生育が促進され、黒柄系の中生品種を7月中旬から出荷することが可能である。

[キーワード]

根深ネギ、夏どり、小型トンネル、中生品種、生育促進

[担当]

千葉農総研・北総園芸研究所・畑作園芸研究室

[連絡先]

0478-59-2200

[区分]

関東東海北陸農業・関東東海・野菜

[分類]

技術・普及


[背景・ねらい]

県内の中生品種を用いた夏どりネギ栽培では、ほとんどの地域で連結ペーパーポットなどを用いた稚苗定植栽培が普及している。しかし、比較的寒冷な北総地域では、3月中旬以前に定植しても低温のため活着が遅れ、収穫は早くとも7月下旬~8月となる。そこで、定植直後に簡易な小型トンネルを被覆し、初期生育を促進させることで、例年高値傾向にある7月どり根深ネギの生産安定を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 連結ペーパーポット苗などの稚苗を用いた夏どりネギ栽培において、定植直後から厚さ0.03mm、幅115cmのポリオレフィン系フィルム(商品名:ユーラック)を被覆して、トンネル幅が約40cm、畦溝からの高さが約40cmの小型トンネルとする(図1)。
  2. トンネル被覆期間中の被覆内日平均気温は、密閉管理した4月第1半旬までは4℃前後、換気を開始して以降は2℃程度高く推移する(図2)。
  3. 定植直後から4月中旬までのトンネル被覆によって、ネギの初期生育が促進され、5月下旬時点では、葉鞘長が3cm程度長くなる(表1)。
  4. トンネル栽培することで、黒柄系の中生品種を用いた場合でも、出荷時期を2週間程度早めることができ、7月中旬からの出荷が可能となる(図3)。

[成果の活用面と留意点]

  1. 長さ150cm程度のグラスファイバー製のポールを弓状にして地面に刺した後、フィルムを展張し、管理機で裾を埋める。マイカー線による固定は不要である。フィルム代は、10a当たり約28,000円である。
  2. 播種は、通常の夏どり根深ネギ栽培とほぼ同時期の12月下旬~1月上旬とする。定植は、本葉2葉時となる2月下旬頃行う。
  3. 3月下旬~4月上旬から開孔率1%程度の孔換気を実施し、徐々に換気量を増加させ、4月中旬にトンネルを除去する。
  4. トンネル除去後の栽培管理は、通常の夏どりネギ栽培に準じて行い、6月下旬に止め土する。
  5. 7月中旬と8月上旬のkg単価を比較すると、前者が329円に対して後者は225円(東京中央卸売市場の1996~2000年平均単価)である。10a当たりの収量を3,500kgとすると、7月中旬出荷では8月上旬出荷に比べて、粗収益は362,600円増加する。

[具体的データ]

図1 小型トンネルの模式図

図2 トンネル内の日平均気温の推移
注1)測定位置は畦溝から高さ10cmの地点。
  2)トンネル区では4月第1半旬まで密閉管理とし、
      徐々に換気量を増やしていった。

図3 トンネル被覆とネギの葉鞘長、規格別収量

注)各階級の計量区分

L太 :軟白長20cm以上、太さ20mm以上   2L :軟白長25cm以上、太さ15~19mm 
:軟白長20cm以上、太さ15~19mm   L細 :軟白長20cm以上、太さ10~14mm

[その他]

研究課題名 :7~8月どり根深ネギの安定生産技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998~2000年度
研究担当者 :安藤利夫

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