イチゴ「章姫」の循環式ロックウール栽培の培養液管理


[要約]

イチゴ「章姫」の循環式ロックウール栽培では、「章姫」の養分吸収特性に基づいて作成した培養液処方により、1回の給液量を掛け流し式の2倍量(1株当たり0.14~0.26リットル)とし、培養液をタンク容量の約1/4になった時点で補充をすれば、3月までの収量・品質は掛け流し式とほぼ同等になる。

[キーワード] イチゴ、ロックウール栽培、循環式、章姫、給液量、補充間隔
[担当] 静岡農試・園芸部
[連絡先] 0538-36-1555
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・野菜
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

イチゴの高設式ロックウール栽培が急速に普及しているが、掛け流し式が多く、排液による環境汚染が懸念されている。一方、循環式は、培養液組成のバランスが崩れやすく、栽培管理が難しい。そこで、「章姫」の養分吸収特性から求めた培養液処方を使用して、循環式栽培における培養液管理法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 循環式ロックウール栽培は、高設式発泡スチロール製栽培ベッド(内寸幅30cm、深さ10cm)に、ロックウール細粒綿を株当たり約2Lを充填し、株間15cm、条間25cmの2条千鳥植え(9000本/10a)で行う(図1)。
  2. 培養液は、「章姫」の養分吸収特性から求めたNO3-N=4.0me/L、NH4-N=0.4me/L、P=3.0me/L、K=2.7me/L、Ca=2.0 me/L、Mg=2.0 me/L(EC約0.9dS/m)の組成とする。
  3. 慣行の掛け流し式の給液量は給液に対する排液率が30%となる量を標準としているが、循環式は、掛け流し式の給液量の2倍量(1株あたり0.14~0.26L)が適し、葉面積は大きく、葉柄は伸長して多収となる(図2)。
  4. 1日の給液回数は、晴天時は3回、曇雨天時は1~2回とし、新しい培養液の補充は、培養液が給液タンク容量の約1/4になった時点で行う。この場合のタンク容量は、培養液の補充間隔が厳寒期で6日、吸水量の増加する春先で3日となる10a当たり5.6トン(株当たりで0.625L)が適量である。
  5. 上記のような給液と培養液補充を行うと、3月までに掛け流し式とほぼ同等の約3.2トンの収量が見込まれる(図3)。
  6. 循環式栽培の果実品質は、掛け流し式とほぼ同等である(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 培養液が給液タンク容量の約1/4になった時に自動的に補給されるには、水位センサを組み合わせた自動補給システムを作る必要がある。
  2. 2月中旬以降になると、タンク内の培養液のEC値が上昇するので、Ca、Mg、Sの濃度を下げるような培養液組成にする必要がある。

[具体的データ]

         図1 循環式栽培装置の概要

図2 循環式栽培の給液量が収量に及ぼす影響

  図3 循環式と掛け流し式の収量比較

[その他]

研究課題名 :イチゴ章姫のロックウール栽培における養水分吸収特性の解明と管理技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :1998~2000年度
研究担当者 :天野高士、忠内雄次、竹内常雄

目次へ戻る