コナガ抵抗性育種素材「ハルザキヤマガラシ」のコナガ抵抗性機構
[要約]
アブラナ科作物のコナガ抵抗性育種素材を探索して、ハルザキヤマガラシを発見し、それに含まれるコナガ摂食阻害物質の構造を明らかにした。
| [キーワード] |
コナガ、ハルザキヤマガラシ、アブラナ科、摂食阻害物質、耐虫性 |
| [担当] |
長野野菜花試・育種部、野菜茶研・葉根菜研究部・虫害研、福岡大学、花き研 |
| [連絡先] |
026-278-6848 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・野菜 |
| [分類] |
科学・普及 |
[背景・ねらい]
コナガは多くのアブラナ科作物を加害する重要害虫であるが、ヨーロッパ原産のアブラナ科帰化雑草、ハルザキヤマガラシには例外的に寄生しない。そこでコナガ抵抗性アブラナ科作物育成のための基礎データを得るために、ハルザキヤマガラシのコナガ抵抗性機構を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- キャベツ類を中心に、アブラナ科植物14属15種172系統についてコナガ食害調査の結果、コナガ抵抗性育種素材としてハルザキヤマガラシ(Barbarea vulgaris
R.Br.)を選抜した。
- コナガによるハルザキヤマガラシの摂食面積は、キャベツの3~5%程度と小さく、コナガに対して強い抵抗性を示す(図1)。
- ハルザキヤマガラシのコナガ抵抗性は、摂食刺激物質であるシニグリンより効果が強い(図2)。
- ハルザキヤマガラシの葉抽出物を、コナガ幼虫の摂食阻害活性を指標に各種クロマトグラフィーで分画して、コナガ幼虫摂食阻害物質を単離した。NMR、GC-MS分析等の結果、本物質はヘデラゲニンの3位にセロビオースが結合したサポニンである(図3)。
- 本物質をキャベツ葉片(直径19mm、約100mg)に、50μg以上塗って与えると、コナガ3齢幼虫の摂食が強く阻害される。
- ハルザキヤマガラシ葉には本物質が新鮮重1g当たり約1mg含まれており、本物質は生葉中で単独でコナガ幼虫の寄生を十分に阻害できると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- ハルザキヤマガラシは原産地では野菜・薬草として利用されていることから本物質の人畜毒性は低いものと考えられる。
- ハルザキヤマガラシを育種素材として利用したコナガ抵抗性アブラナ科作物作出、また本物質を利用したコナガ摂食阻害剤の開発や、本サポニンを付与したコナガ抵抗性アブラナ科作物の作出が期待できる。
[具体的データ]



[その他]
| 研究課題名 |
:アブラナ科野菜耐虫性品種の育種 |
| 予算区分 |
:県単基礎 |
| 研究期間 |
:1996~2001年度 |
| 研究担当者 |
:芹澤啓明、篠田徹郎、長尾常敦、中山真義、河合章、腰岡政二、岡部光 |
| 発表論文等 |
:1)芹澤ら(2000)害虫防除剤及び害虫抵抗性植物.特願2000-358883.
2)Serizawa et al. (2001) Appl. Entomol. Zool. 36:465-470
3)Shinoda et al. (2002) J.Chem.Ecol. ( in press) |
目次へ戻る