壁面緑化用壁掛け式植物トレー


[要約]

ブロック塀・フェンス・屋内などの垂直な壁面でも簡易に緑化できる壁掛け式の植物トレーを開発した。薄型で設置や潅水、掛け替えが容易で、マリーゴールドやツルマサキなど約30種類の植物を観賞できる。

[キーワード] 緑化技術、壁面緑化、植物トレー
[担当] 埼玉農総研・植木支所・緑化造園担当
[連絡先] 048-572-1220
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

これまでの壁面緑化手法は、ツル性植物をはわせる以外プランターやバスケットを掛けるのが一般的である。しかしこの方法では鉢の厚みによる人の通行への支障や潅水時の水漏れなどから、利用場所が限定されている。そこで薄型で底面給水型の壁面緑化用資材を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発した植物トレーは、植栽基盤とこれをはめ込む受け枠とで成り立ち、植栽基盤は、水稲育苗箱や鉢受け皿を利用し、内部に網状成形マットを固定し、マットの空隙に培養土を充填して栽培に供する。受け枠は、壁面に掛けるためのフックと底面給水用の貯水槽を有しており、植栽基盤を簡単に取り替えることができる仕組みとなっている。(図1
  2. トレー内部に固定する網状成形マットは、直径2mm程度の化学繊維を厚さ1.5cmの板状に成形したもので、この網目に市販の草花用園芸培養土を充填して植栽基盤とする。
  3. ここに植物の種子をまいたり、挿し木をして育苗し、張り出した根がマットの繊維に十分絡み付き、基盤を垂直に起こしても培養土と植物体が落下しなくなれば、壁面に掛けることができる。
  4. 潅水は、予め水稲育苗箱や鉢受け皿の底面に底面給水用不織布を敷き込んでおき、この下端から吸水ヒモを垂らし、貯水槽内の水に浸すことで毛管現象により底面給水される。
  5. 垂直面に設置する前に、法面緑化用吹き付け剤(酢酸ビニル樹脂エマルジョン剤)の10倍~15倍希釈液をトレー全面に散布することで、土壌落下をほぼ完全に防止することができる。
  6. この植物トレーで約30種類の植物(草本植物:アゲラタム、エキザカム、コリウス、トレニア、マリーゴールド、マンネングサ等、木本植物:アベリア、オタフクナンテン、シモツケ、ツルマサキ、ハツユキカズラ、フィカス・プミラ、フイリマサキ、ヤマモミジ等)が垂直面で観賞できることがわかった。() 

[成果の活用面・留意点]

  1. 植物の種類によって、発根期間が異なるため、育苗期間は短くて1ヵ月から長くて半年以上かかる。木本植物の実生の場合、種子休眠に注意する必要がある。
  2. ブロック塀やフェンス、玄関周りの他、室内のついたてなどに掛けて利用できる。
  3. 室内は戸外に比べ1%程度の光量しかないため、日当たりの良くない場所では、日陰に適応した植物の利用がよい。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :壁面緑化用壁掛け式植物開発試験
予算区分 :県単
研究期間 :1998~2000年度
研究担当者 :篠崎 誠、大宅万喜子、川井康正、石井芳夫、新井 裕
発表論文等 :平成11年度実用新案登録取得済み

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