セイヨウアジサイとカシワバアジサイの種間雑種


[要約]

セイヨウアジサイ(Hydrangea macrophylla)を種子親に北アメリカ原産のカシワバアジサイ(H. quercifolia)を花粉親に用いて交配後60日以上で胚珠培養を行うと、種間雑種が作出できる。

[キーワード] セイヨウアジサイ、カシワバアジサイ、胚珠培養、種間雑種
[担当] 群馬県園芸試験場・育種開発部・生物工学課
[連絡先] 0270-62-1021
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・花き、関東東海北陸農業・関東東海・生物工学
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

セイヨウアジサイは、群馬県の重要な鉢物花き品目の一つである。セイヨウアジサイは花色の変異が豊富で商品価値が高いが、寒さに弱く、越冬中の花芽が枯死しやすい性質がある。そのため、本県中山間地帯の露地あるいは無加温施設では栽培が困難である。
一方、北アメリカ原産のカシワバアジサイは、セイヨウアジサイには見られない特徴的な円錐形の花序をもち、耐寒性が強いが品種分化は進んでいない。また、セイヨウアジサイとカシワバアジサイの種間雑種作出の例はない。そこで、セイヨウアジサイにカシワバアジサイのもつ耐寒性や独特な花形を導入するために、雑種作出の方法を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. セイヨウアジサイ×カシワバアジサイとの交配では、受粉後2週間ほどで子房が緑化肥大するが、ほとんど胚乳が形成されず、完全な種子は形成されない(表1)。
  2. セイヨウアジサイ×カシワバアジサイとの交配後60日以上の胚珠を1/2MS培地で培養するとセイヨウアジサイ‘ブルーダイヤモンド’を種子親にした場合、低い割合で順化個体が得られる(表2)。
  3. 胚珠培養で得た個体は生育が極めて緩慢であるが、セイヨウアジサイとアメリカノリノキの交配のような致死性を示さずに生育を継続し、順化後、温室で生育させることができる。
  4. 順化個体にはカシワバアジサイ特有の鋸歯が観察され、雑種であると判断される(図1)。
  5. 雑種個体の生育は不安定で、夏期には生育を停止する。どの個体も節間が極めて短縮した特異な形態を示す。開花株のがく片は大きく肥厚が著しく(図2)、開花後もがく片が生長しつづける等、非常に異常な形態・生育を示す。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本法により、これまで困難とされていたセイヨウアジサイとカシワバアジサイとの雑種個体の作出が可能になる。今後、耐寒性等の実用形質をもった系統を選抜する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :胚・胚珠培養によるアジサイ属種間雑種の作出
予算区分 :県単
研究期間 :1999~2000年度
研究担当者 :工藤暢宏ら
発表論文等 :胚珠培養によるセイヨウアジサイとカシワバアジサイとの種間雑種の作出.園芸学会雑誌, 70別1,135,2001

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