シロイチモジヨトウ用交信攪乱剤によるネギのハスモンヨトウの被害回避


[要約]

ビートアーミルア剤(シロイチモジヨトウ用交信攪乱剤)を用いて、ネギを加害するハスモンヨトウとシロイチモジヨトウの被害を回避できる。

[キーワード] ネギ、ハスモンヨトウ、ビートアーミルア剤、交信攪乱、交尾阻害、減農薬
[担当] 埼玉県農総研・生物機能担当
[連絡先] 0480-21-2095
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・病害虫
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

近年、海外産の安価なネギが輸入され、農家経営を圧迫している。ネギを加害するハスモンヨトウは、シロイチモジヨトウと比較してネギでの発生密度が低いものの、摂食量が多く、かつ、糞を葉身内にするので被害が大きく、さらに、有効な防除薬剤が少ないことから防除対策上問題になっている。そこで、農薬散布を極力減らした省力的でより効果的なハスモンヨトウの防除技術を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 1998年~2001年にかけて、妻沼町、吉川市及び本庄市のネギを始めとした野菜畑に、ビートアーミルア剤を処理した。10a当たり100本のディスペンサー(ディスペンサーをまとめて4本ずつ括り付けた長さ約80cmの篠棒を25本/10a)をほぼ均等に設置した。
  2. 処女雌をビートアーミルア剤処理区と無処理区に、それぞれ、1晩設置し(つなぎ雌試験)、その交尾の有無により交尾阻害効果を調査した。
  3. ビートアーミルア剤の処理区及び無処理区には慣行防除が行われた。本庄市のビートアーミルア剤無処理区には、殺虫剤を散布しない区も設けた。それぞれの区について、ハスモンヨトウ幼虫個体数とヨトウムシ類による被害株数を計数した。
  4. ビートアーミルア剤処理区のハスモンヨトウ雌成虫の交尾率は無処理区と比較して低く、交尾阻害効果が認められ(表1)、ハスモンヨトウの交信攪乱剤として有効である。
  5. ビートアーミルア剤処理区では、ネギ畑のハスモンヨトウ及びシロイチモジヨトウの幼虫密度が無処理区と比較して低くなっていて、ビートアーミルア剤にはこれら幼虫密度の低減効果が認められる(図1)。
  6. ハスモンヨトウ及びシロイチモジヨトウによる被害株は、ビートアーミルア剤処理区で明らかに少く(図4)、ビートアーミルア剤を用いてネギを加害するシロイチモジヨトウとハスモンヨトウの被害を同時に回避できる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 今回のビートアーミルア剤処理面積は10~15haであったが、広い面積で処理するとより安定した効果が期待できる。
  2. ビートアーミルア剤のハスモンヨトウに対する効果の持続期間は約2ヶ月と考えられた。

[具体的データ]

  図1 吉川市及び妻沼町におけるビートアーミ
    ルア剤処理とネギ葉上のハスモンヨトウ幼
    虫個体数の推移
    (総処理面積:10ha;処理時期:1998年7月中旬;
    1000株調査;品種は妻沼町では合黒系が、吉川
    市では黒柄系が主体であった)

  図2 本庄市におけるビートアーミルア剤処理と
    ネギ葉上のハスモンヨトウ幼虫個体数の推移
    (総処理面積:15ha;処理時期:2001年7月中旬;
    1000株調査;品種は合黒系が主体であった)

  図3 ビートアーミルア剤処理とネギ葉上のシロ
    イチモジヨトウ幼虫個体数の推移
    (2001年;1000株調査)

  図4 ハスモンヨトウ及びシロイチモジヨトウ
    によるネギの被害株数の推移
    (2001年;1000株調査)

[その他]

研究課題名 :野菜類の複数害虫を対象とした複合性フェロモン製剤の開発と利用技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2001~2003年度(前試験:1998~1999年度)
研究担当者 :根本 久(埼玉農総研)、井上玲子、池田順子、柄本利道、萱間昌弘、矢島久史、杉沼千恵子、原弘信(普及セ)、新井健三、飯田一(防除所)、鈴木栄一(久喜専技室)
発表論文等 :1) 根本 久・他(2002)埼玉県農林総合研究センター研究報告 第2号(印刷中).
  2) 埼玉県園芸試験場(2000)平成11年度関東東海農業研究成果情報、pp.334-335.

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