オゾンを利用した循環式養液栽培における培養液殺菌システムの開発
[要約]
ロックウール栽培で排液を循環利用するため、オゾンによる培養液殺菌システムを開発した。円筒形の殺菌槽内に排液を入れ、オゾンを水中ポンプにより細かい気泡として槽内に処理すると、同液中のトマト根腐萎凋病菌を30分間で100%殺菌できる。
| [キーワード] |
ロックウール栽培、 オゾン、培養液殺菌システム、トマト根腐萎凋病菌 |
| [担当] |
三重科技農研・循環機能開発グループ |
| [連絡先] |
0598-42-6360 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・病害虫、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究 |
| [分類] |
技術 ・参考 |
[背景・ねらい]
トマトのロックウール栽培において、一度使用した培養液(排液)を再利用するため循環利用し、農業系外への排出を削減する培養液の循環利用システムの開発が必要となっている。培養液の循環利用に当たり、培養液中に存在する病原菌の殺菌が前提となるため、オゾンを利用した殺菌システムを開発する。トマトのロックウール栽培における重要病害である根腐萎凋病を対象に殺菌効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
- トマトのロックウール栽培において、培養液の循環利用を可能とするオゾンの強い酸化力を利用した培養液殺菌装置を開発した。
- 殺菌装置は、オゾン発生装置と培養液の殺菌槽からなる。オゾン発生装置は、コロナ放電プレート方式を採用する。オゾンの発生濃度は吐き出し風量が、毎分5Lでは540ppm、毎分10Lでは386ppm、毎分15Lで309ppmである。また、殺菌槽は300L容積の円筒形の容器(直径70cm、高さ86.5cm)を使用し、250Lの培養液を入れる。オゾンは水中ポンプの底面に装着した散気管から発生させ、ポンプに吸い込まれた培養液とオゾンを内径5cmの塩化ビニル製のパイプを通して、殺菌槽全体にオゾンの細かい気泡として拡散させる。さらに汲み上げ能力が毎分200Lの水中ポンプの連続運転により、殺菌の偏りをなくすことができる。処理後のオゾンガスは活性炭により除去する。(図1)。
- オゾンによってトマト根腐萎凋病菌を殺菌する場合、菌を懸濁する液の条件により殺菌効率に差が認められ、井戸水、培養液、有機物(トマト残さ)を混入した培養液の順に殺菌効率が低下する。オゾンが酸化する対象である肥料成分、有機物が増加すると、殺菌効率が低下する。また、オゾンの吐き出し風量や水中ポンプの汲み上げ能力の違いにより殺菌効率が変化する。本事例では殺菌効率が高い仕様は、オゾンの吐き出し風量が毎分10L、水中ポンプの汲み上げ能力が毎分200Lである。同仕様により、根腐萎凋病菌に汚染されたトマト栽培培養液を、30分間以上処理することにより、100%殺菌が可能である(表1)
[成果の活用面・留意点]
- 開発した殺菌システムは、1台で40aまでの栽培面積に対応できるため、栽培面積によってユニットで対応することができる。
- 水中ポンプはオゾンの拡散と培養液の排出を兼用するため、水中ポンプの能力によって仕様が異なる。
- 他の病原菌(糸状菌、細菌)に対する殺菌効果の検証が必要である。
- オゾンにより培養液中のマンガンは酸化されるので注意する。
- 殺菌効率は水温の影響を受け、高温で低下する。
[具体的データ]


[その他]
| 研究課題名 |
:トマトのロックウール代替培地による環境保全型養液栽培システムの開発 |
| 予算区分 |
:国補(地域基幹) |
| 研究期間 |
:1999~2003年度 |
| 研究担当者 |
:黒田克利、冨川章、礒崎真英 |
| 発表論文等 |
:特許出願中 |
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