窒素濃度の高い河川水かん水砂地ほ場でのニンジンの窒素施肥量削減


[要約]

硝酸性窒素濃度が約30mg/Lの河川水を砂地のニンジン栽培にかん水することにより、窒素施肥量を慣行(25.2kgN/10a)に対し、40%削減することが可能で、同時に河川の窒素流出負荷軽減が期待できる。

[キーワード]

硝酸性窒素濃度、砂地、ニンジン、窒素施肥量、窒素流出負荷軽減

[担当]

静岡県農業試験場・海岸砂地分場

[連絡先]

0537-86-2218

[区分]

関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料

[分類]

技術・普及


[背景・ねらい]

茶園排水を含む河川水は、年間を通して硝酸性窒素濃度が高い場合がある。そこで、この水を砂地地帯のニンジン栽培にかん水として利用することで、窒素施肥量の削減と河川からの窒素流出負荷の軽減を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 硝酸性窒素濃度が30mg/L程度の河川水をかん水した春夏ニンジンは、無かん水あるいは窒素濃度の低い地下水をかん水した場合に比較して根重および吸収窒素量が多い。河川水をかん水した場合には、慣行の窒素施肥量(25.2kgN/10a)と比較して40%減の窒素施肥量(15.1kgN/10a)でもLクラス(130~180g)の根重が得られ、同等以上の吸収窒素量となる(表1,)。
  2. かん水窒素量のうち、ニンジンに吸収利用されるのは、最大3.9kgN/10a程度で、河川水をかん水利用することでこの分、河川からの窒素負荷を軽減できる(表1,)。
  3. 未利用窒素量(投入窒素量-吸収窒素量)は、投入窒素量が少ないほど減少するが、投入窒素量が同程度ならば、河川水をかん水した方が少なく、環境への負荷が軽減される(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 実際に施肥量を削減する場合には、事前にかん水に用いる水の水質、かん水量の把握が必要である。
  2. 肥料成分の溶脱を軽減するため、一回あたりのかん水量は10~20mm程度とし、一度に多量にかん水しない。
  3. 本試験は現地ほ場で行い、かん水はかん水チューブで行った。

[具体的データ]

      表1 かん水の有無とニンジン1)の根重、吸収窒素量(2000年)


           1) 栽植密度:45,000本/10a、栽培期間の降雨量:799mm
           2) ニンジンの発芽が揃うまでは全てにかん水、以後かん水無しは降雨のみ
           3) かん水量(回数):かん水無し=27mm(3回)、かん水有り=275mm(13回)
           4) 同一施肥量でかん水有りと無しの吸収窒素量の差

      表2 かん水の種類とニンジン1)の根重、吸収窒素量(2001年)


           1) 栽植密度:30,000本/10a、栽培期間の降雨量:567mm
           2) かん水量(回数):160mm(13回)
           3) 同一施肥量で河川水かん水と地下水かん水の吸収窒素量の差

[その他]

研究課題名

:砂地における露地・施設野菜の環境保全型栽培技術の確立

予算区分

:国補(公害防止)

研究期間

:2000~2001年度

研究担当者

:渥美和彦、新良力也、宮地直道


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