カキの「うすずみ果」発生要因の解明と対策


[要約]

カキ(富有)において果頂部が浅黒く変色する障害「うすずみ果」は、主要根群域のpH低下に伴うMn過剰が原因であり、下層土の土壌pHの改良により発生が抑制される。

[キーワード] カキ(富有)、Mn過剰、土壌改良、生理障害果
[担当] 岐阜農技研・環境部
[連絡先] 058-239-3135
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

近年、カキ(富有)の果頂部が変色する障害「うすずみ果」が多発し、品質の低下をもたらしている。そこで、土壌及びカキ植物体の分析を行い、発生要因を解明するとともに、ポット試験による障害の再現及び対策の確立を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 「うすずみ果」には果皮直下に褐色の細粒状物質の蓄積が認められる(図1)。この物質はX線マイクロアナライザーによる分析の結果、CとOが検出元素の9割近くを占めたことから有機物であることが示唆された(データ略)。
  2. 「うすずみ果」多発圃場では、未発生圃場に比べ、特に40cm以深の下層土においてpHが低く、置換性マンガンが多い傾向にあり、果皮・葉中のマンガン濃度も高い(表1)。
  3. ポット栽培のカキに対して硫酸マンガンを施用すると、果皮・葉中のマンガン濃度が上昇し、「うすずみ果」の発生が増加する(表2)。
  4. 現地障害発生圃場において、下層土の改良を目的としたグロースガンによる苦土石灰施用を実施したところ、施用後3ヶ月の時点で処理区の葉中マンガン濃度は無処理区に比して著しく低下し、その後も収穫時まで無処理区の4割程度で推移した(図2)。
  5. 上記圃場の苦土石灰処理区においては、下層土の塩基飽和度が改善されるとともに、障害発生部位である果頂部果皮のマンガン濃度も低下し、うすずみ果の発生が抑制される(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 石灰資材の施用に当たっては、グロースガン等によりできるだけ下層土に広範囲にゆきわたらせる。
  2. 石灰資材の施用と併行して、極力圃場排水の改善に努める。

[具体的データ]

   図1 うすずみ果

      図2 苦土石灰の施用と葉中マンガン濃度(b園)

[その他]

研究課題名 :カキのうすずみ果発生要因の解明
予算区分 :県単
研究期間 :2000~2001年度
研究担当者 :袖垣一也、浅野雄二、松村博行、矢野秀治、尾関健、新川猛
発表論文等 :1)浅野ら (2000) 園学雑 69(別1):220.
  2)松村ら (2001) 園学雑 70(別1):233
  3)浅野ら (2001) 園学雑 70(別1):234.

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