砂利洗浄汚泥を主原料とした水稲育苗培土のpH低下による苗生育障害
[要約]
砂利洗浄汚泥を主原料として製造された水稲育苗培土のなかには、育苗期間中に生成する硫酸によりpHが急激に低下するものがあり、砂利洗浄汚泥を用いる場合には過酸化水素による酸化後のpHを評価する必要がある。
| [キーワード] |
水稲育苗培土、pH低下、生育障害、砂利洗浄汚泥 |
| [担当] |
三重科技・農研・循環機能開発グループ・作物グループ |
| [連絡先] |
0598-42-6361 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料 |
| [分類] |
技術・参考 |
[背景・ねらい]
平成13年の水稲育苗において、育苗培土に起因すると考えられる苗の生育障害が多発した。障害症状は発根が著しく不良となり、さらに障害程度が進むにつれてムレ苗症状、立ち枯れ症状を示すものもみられた。現地の報告から問題のあった水稲苗においては、障害発生時(または発生後)の培土pHが4以下の著しい酸性値を示すことが明らかとなっている。今回、問題となった培土は砂利洗浄汚泥を原料として使用しており、障害の発生したものと同一製造日の培土を含めた異なる数種類の育苗培土を用いて、この育苗培土が水稲苗の生育に及ぼす影響と培土の化学的特性と生育障害要因について検討した。
[成果の内容・特徴]
- 製品のpHは製造時には5.3~6.0前後に調整されていたものの、障害の認められた培土は使用時には3.9~4.5に低下し、過酸化水素による酸化後のpHも3.1~3.4と低かった(表1)。
- 育苗再現試験の結果、30℃×3日間加温後の出芽は、障害の発生した培土で著しい不良となった。出芽作業後、ビニルハウス内に置床管理したところ、他区より遅れてかなりの出芽数が認められ、出芽不良の原因は籾の枯死によるものではなく出芽速度の遅延と思われた。播種後7日目(ビニルハウス置床後4日目)の苗は、障害発生培土で草丈、葉齢が対照培土等に比べ著しく小さく、最長根長も1cm以下とほとんど伸長していなかった(図1)。
- 育苗培土の硫酸態硫黄含量は、障害が認められた培土では30℃培養で直線的に増加し、培養18日で過酸化水素処理による硫酸態硫黄量の60~85%の量が認められた(図2)。
- 育苗中の培土の水浸出液中のイオンバランスについて、障害発生培土と対照培土で比較すると、対照培土は陽イオンと陰イオンのバランスがとれているのに対し、障害発生培土では播種後11日以降、陰イオンの方が多くなり、この増加分はpHの低下と対応していた(図3)。
- 培土の保管期間中および育苗中に生じるpHの低下は、硫酸の生成が原因であり、原料である砂利洗浄汚泥中の硫黄によると考えられ、過酸化水素による酸化後のpHが3.5以下のものはpHの低下による水稲苗生育障害の危険性が大きい。
[成果の活用面・留意点]
- 砂利洗浄汚泥は砂利採取地によりその性質が異なり、今回障害の発生した培土は河口付近で採取された砂利の洗浄汚泥で、このような地域からの採取砂利の洗浄汚泥については硫黄含量が高いと考えられるため特に注意が必要である。
[具体的データ]




[その他]
| 研究課題名 |
:水稲育苗培土のpH低下による苗生育障害要因の解明 |
| 予算区分 |
:県単 |
| 研究期間 |
:2001年度 |
| 研究担当者 |
:出岡裕哉,神田幸英 |
| 発表論文等 |
: |
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