リン酸緩衝液を用いたコマツナ発芽試験法による堆肥の安全性評価
[要約]
従来のコマツナ発芽試験法においては、堆肥抽出液のpHやECが実際に施用した場合と大きく異なる問題があった。リン酸緩衝液を用いて水抽出液のECを一定に調整すれば、pHやECの影響を低くして家畜ふん堆肥の植物に対する安全性を評価できる。
| [キーワード] |
堆肥、コマツナ発芽試験法、緩衝液、pH、EC |
| [担当] |
三重科技・農研・循環機能開発グループ、生物機能開発グループ |
| [連絡先] |
0598-42-6360 |
| [区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料 |
| [分類] |
技術・参考 |
[背景・ねらい]
シャーレで行うコマツナの発芽試験法は、家畜ふん堆肥の植物に対する安全性を比較的簡便に評価できる方法である。しかし、本試験法で用いる堆肥の水抽出液は、堆肥をほ場に施用した場合とpHやECが大きく異なり、現実的な評価結果が得られない可能性がある。そこで、土壌に堆肥を施用した場合の溶液と堆肥抽出液とのpHやECの違いを調べるとともに、pHやECの影響を軽減するためシャーレ試験法の改良を行う。
[成果の内容・特徴]
- 堆肥を水で抽出した液のpHは8~10のアルカリ性を示すことが多いが、実際に堆肥を施用した場合、土壌溶液のpHはかなり低くなる。ECについては、堆肥抽出液は土壌溶液より高い値を示すとともに、変動が顕著に大きい(図1)。堆肥の水抽出液を用いる発芽試験法は、土壌の緩衝能を考慮していないため、極端に高いpHや、変動の大きいECの影響を受ける問題点がある。
- 堆肥の水抽出液に2Mリン酸緩衝液を添加し、EC4.0に調整すると、pHも7前後に調整される(表1)。
- 堆肥を水抽出し、従来法により発芽試験を行うと、腐熟の進んだ堆肥でもコマツナの根の伸張阻害が大きい場合があるが、水抽出後pH・ECを調整した液を用いると、堆肥化日数が長いほど植物阻害が小さくなり、現実の反応に近い結果が得られる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 2Mリン酸緩衝液は、2Mリン酸水素二カリウムと2Mリン酸二水素カリウムで作成したもの(pH6.3、EC149)を用いる。
- 対照として、2Mリン酸緩衝液をEC4.0になるように希釈した液(pH6.9)を用いて発芽試験を行い、根長の比で各供試液の生育阻害性を評価する。なお、本緩衝液によるコマツナの根長は蒸留水を使用した場合の75%程度である。
- 堆肥抽出液をEC4.0に調整するためには、2Mリン酸緩衝液を最大0.2ml/10ml加えればよく、希釈が発芽試験結果に与える影響は無視できる。
[具体的データ]



[その他]
| 研究課題名 |
:畜産に係るエコシステム創出に関する技術開発 |
| 予算区分 |
:国庫委託 |
| 研究期間 |
:2000~2004年度 |
| 研究担当者 |
:藤原孝之、原 正之、村上圭一 |
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