鶏ふん堆肥中の尿酸分解に及ぼす微生物要因


[要約]

鶏ふん堆肥中から尿酸を窒素源とするウリカーゼ生産細菌の存在を確認した。密閉縦型発酵方式における尿酸の分解抑制は、ウリカーゼ生産細菌の尿酸分解活性が60℃以上の高温条件下において低下することに起因する。

[キーワード] 鶏ふん堆肥、尿酸、ウリカーゼ生産細菌
[担当] 三重科技・農研・生物機能開発グループ、循環機能開発グループ
[連絡先] 0598-42-6361
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]

堆肥化過程において鶏ふん堆肥の窒素肥効を支配する尿酸の分解速度は、堆肥化方式により異なり、ハウス撹拌発酵方式では密閉縦型発酵方式に比べ大きい傾向が認められているが、その要因については明らかにされていない。
そこで、堆肥化方式の差異による尿酸分解速度の相違は、尿酸を分解するウリカーゼ生産細菌の活性に影響する諸因子によるものと考えられることから、ウリカーゼ生産細菌の堆肥中における存在を確認するとともに尿酸分解活性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 堆肥化方式別の堆肥温度は大きく異なり、密閉縦型式で堆肥化初期から70℃に達するが、ハウス攪拌式では40~50℃であった(図1)。
  2. 堆肥化方式、堆肥化期間の異なる堆肥を2つの温度条件下(70、40℃)で培養すると、40℃では生ふんとハウス撹拌式の堆肥で高い尿酸分解活性が認められたが、密閉縦型式の堆肥では認められなかった。また、70℃ではいずれの堆肥においても活性を示さなかった(図2)。
  3. 次に、尿酸を唯一の窒素源としたウリカーゼ生産細菌の選択培地(表1)を用いて、堆肥化方式・堆肥化期間の異なる堆肥を培養したところ、全ての堆肥からウリカーゼ生産細菌の存在が認められた。その中から特に尿酸分解活性が高い細菌を生ふんから2株(桿菌:B1、B2株)、ハウス攪拌式から1株(球菌:A1株)得た(表2)。
  4. 尿酸の分解に温度要因が関与していると考えられることから、得られた桿菌2株を10%鶏ふん抽出液体培地に接種し、4つの温度条件下(70、60、50、40℃)で培養すると、両株とも40℃条件下で尿酸分解活性が高く、60℃以上で低下した(図3)。
  5. 以上のことから、密閉縦型式で堆肥化された堆肥は、堆肥化初期から品温が70℃程度になるため、ウリカーゼ生産細菌の尿酸分解活性が低下することに起因し、ハウス攪拌式の堆肥に比べ尿酸の分解が抑制される。

[成果の活用面・留意点]

  1. 鶏ふん堆肥の窒素肥効制御技術の基礎知見として利用できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :畜産に係るエコシステム創出に関する技術開発
予算区分 :国庫委託
研究期間 :2000~2004年度
研究担当者 :村上圭一、原 正之、藤原孝之
発表論文等

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