生産者の満足度評価を基準とした水稲直播の単収目標の数量化


[要約]

コシヒカリ直播の単収の満足度評価に関する判別分析より、95.8%のサンプルが正しく分類された。また、分析結果をもとにした試算より、満足グループの平均的な最低許容単収は460kgであり、6~8割が満足するためには480~500kgの単収が必要である。

[キーワード] アンケート調査、満足度評価、判別分析、技術目標、数量化
[担当] 石川農研・企画経営部・経営機械科
[連絡先] 076-257-6911(代表)
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・経営作業技術
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

新技術がより普及していくためには、現場のニーズや要求している水準を把握した上で開発・確立していく必要がある。ここでは、コシヒカリ直播を実施している生産者に対するアンケート調査をもとに、判別分析により単収に対する満足度評価に関する分析を行い、分析結果をもとに生産者の満足度を満たすための単収水準を明らかにした。

[成果の内容・特徴]

  1. 図1より58%の経営が単収に対して不満あるいはやや不満と回答している。
  2. 単収評価要因として、(A)単収に関する直接的データ、(B)評価の前提となる要因、(C) 経営的要因や社会経済的要因、が考えられる(図2)。(A)直接的データには、実際の収量水準の他に達成度を表す変数が重要であると考えられる。(B)評価の前提となる要因として、品質食味及び倒伏に対する満足度がある。これは、ある程度の品質水準の確保や倒伏の回避といった適切な栽培管理を前提とした単収評価であるか否か、を考慮するためである。なお、ここでは(C)経営的要因や社会経済的要因は考慮していない。
  3. 直播の実績単収と最低許容単収との間にはr=0.73の相関がある。これは、最低許容単 収の水準が各生産者の技術の程度に依存し、それが実績単収にも反映されるためと考えられる。また、満足グループでは、実績単収が最低許容単収と同値以下の水準である経営は半数に満たない(図3)。その差が20kg以下であれば60%以上、40kg以下であれば80%近くの経営があてはまる。
  4. 満足度評価(図1)をもとにデータを満足グループと不満グループに分け判別分析を行った。計測結果より正準相関は0.825で、95.8%のサンプルが正しく分類された(表1)。なお、実績単収は最も直接的なデータであるが、達成度(実績単収-最低許容単収)との間に相関(r=0.78)があるので最低許容単収を代わりに用いた。満足度に及ぼす影響度は、最低許容単収、品質食味に対する満足度、倒伏に対する満足度、達成度、の順である。
  5. 満足と評価したグループの各説明変数の平均値を判別関数にあてはめた時の判別得点 を満足グループの平均像とし、その得点と同値になる実績単収と最低許容単収の組み合わせを試算した(図4)。なお、品質食味と倒伏に対する評価は満足な水準であることを前提とした。結果より、最低許容単収は460kg/10a前後で、ほぼ一定している。そして、コシヒカリ直播に対して6~8割の生産者に受け入れられるためには、それに20~40kg/10aを加えた、480~500kg/10aの単収を確保できる技術として確立する必要がある。

[成果の活用面・留意点]

  1. 生育指標の作成に参考になる。
  2. 数量化の方法は技術研究の中間段階・終了段階において、技術目標の明確化や達成度 の検証に役立つ。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:先駆的経営の計画支援手法の開発

予算区分

:県単

研究期間

:2000~2001年度

研究担当者

:工藤卓雄、桟敷孝浩(現日本学術振興会特別研究員)、種本博

発表論文等


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