リンゴ「ふじ」小型樹密植栽培における省力技術導入の経営的効果


[要約]
「ふじ」小型樹密植栽培で摘花剤・摘果剤・摘葉剤を使用した省力技術を導入すると、慣行に比べて10a当たり所得が2千円の減少となるが、労働時間が68%に省力化できる。また経営面積2ha規模では省力技術を導入することで、労働時間が省力化できるため慣行に比べて0.18ha多く面積拡大が可能となり、その結果所得は55万円(約8%)、1時間当たりの所得は224円(約15%)増加する。

[キーワード]「ふじ」小型樹密植栽培、 労働時間、 所得、摘花剤、摘果剤、摘葉剤

[担当]長野農総試・経営情報部
[連絡先]電話026-246-2411
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
リンゴ生産農家は後継者不足や高齢化が進んでおり、労働力の確保が難しくなってきている。 そこで、主力となっている品種「ふじ」の小型樹密植栽培で省力技術を導入して労働時間の短縮を図りたい。ここでは、現地実証ほや果樹試験場ほ場の試験調査結果及び長野県経営指標を基に、薬剤摘花・摘果・摘葉による着果管理及び着色管理の省力技術導入効果を経営面から明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「ふじ」小型樹密植栽培における省力技術栽培の労働時間は慣行に比べて、着果管理で約30%、着色管理で46%、全体で68%に省力化できる(表1)。収量は両方とも4,070kg/10aで品質も同等であるため収益は同額となった。経費は労働時間が省力化できたため雇用労賃は減少したが、摘花・摘果・摘葉剤の薬剤費が増加したため2千円の増となった。したがって所得は2千円の減となった(表1)。
2. モデルとした経営は、長野県の認定農業者の平均的な経営面積2haとし、品種構成は長野県の奨励品種を組み込み、品種別面積構成は長野県の目標とする面積構成を基にふじが全体の40%以上、つがる0.2ha以上、シナノスイート0.2ha以上とした(表2)。シミュレーションの制約条件として上記の品種と面積構成、家族労働力2人、雇用は表2のとおりとした。シミュレーションは数理計画法を用いて、現状の労働力で所得が最大となる規模限界最適品種構成を求めた。
3. 経営面積2haの省力モデル3は慣行モデル1に比べるて労働時間は512時間減少し、1時間 当たりの所得は206円(約14%)増加するが、所得は2万円の減少となる(表3)。
4. 経営面積2ha規模での規模限界面積は慣行のモデル2では2.05ha、省力の規模限界モデル4では2.23haとなる(表3)。省力技術の限界規模モデル4は慣行規模限界モデル2に比べて面積は0.18ha多く、所得は55万円(約8%)増加する。また労働時間は231時間減少し、1時間当たりの所得は224円(約15%)増加する(表3)。省力技術を導入することで、労働時間が省力化でき面積拡大が可能となる。その結果、経営全体の所得及び1時間当たりの所得が増加する。

[成果の活用面・留意点]
1. 「ふじ」小型樹密植栽培で薬剤による摘花・摘果による着果管理及び摘葉による着色管理の省力化技術を導入する際の参考資料として活用できる。
2. モデルのシミュレーション結果は経営面積、品種面積構成、労働力等の制約条件により変化する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:食味本位リンゴの省力生産技術の実証と経営モデルの策定
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:2003~2004年度
研究担当者:福田久

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