農地の国土保全機能評価に基づいた集落分類方法


[要約]
この手法は農地の国土保全機能を評価し集落を分類する手法である。100mメッシュデータを用いて農地のみを対象とした地域内の相対評価を行い集落の分類を行うもので、行政において今後の農地保全対策を重点的に実施すべき集落を明確にできる。

[キーワード]集落分類、国土保全機能、農地保全

[担当]三重科技セ・農研部・経営植物工学グループ
[連絡先]電話0598-42-6356
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
 耕作放棄の増加などにより農地が持つ国土保全機能の低下が危惧されるなか、多面的機能の維持という観点から持続的な農地保全体制を確立していくことが重要となっている。このためには集落を単位とした農地の国土保全機能を適正に評価することが求められる。そこで、盆地地形に流域を形成する三重県伊賀地域をモデル地域とし、国土を保全するために重要な農地を有する集落を明確にするための集落分類手法を開発し、今後の農村地域計画に資する。

[成果の内容・特徴]
1. 国土保全機能の評価手法は、メッシュを単位として相対評価を行う国土保全機能評価式(表1)を用いる。このとき、評価式から得られる結果は表2に示すように「国土保全のための農地保全の必要性」と意味付けしてランキングする。モデル地域では地域の環境条件を考慮して、水かん養機能、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能、土壌浸食防止機能の4つの国土保全機能評価式を用いた。
2. 個々の機能の評価結果を総合化して1指標とするために、AHPの重要度評価により求めた各国土保全機能に対するウエイト値を総合化係数として用いる。モデル地域では地域の意向として地元行政担当者が評価主体となりウエイトを決定したところ、洪水防止機能が0.346と最も重視された。(表3
3. 評価式からメッシュ単位に算出した各機能の評価値は、平均0、標準偏差1となる基準化を行い、AHPによる各重要度を乗じて総合化する。得られた総合評価値は農地保全の必要性として値の大きさ順に等量分類により5ランクに分類する。モデル地域における結果は図1左図(メッシュ単位分類)となった。
4. メッシュ単位の評価を集落評価とするために、農地保全の必要性が「高い」と分類されたメッシュ数を集落ごとに集計し、このメッシュ数が多い集落を国土保全のために重要な農地を有する集落としてランク分けする。モデル地域ではメッシュ数の大きさ順に等量分類により5ランクに分けた(図1)。この事例では総合化のウエイト付けで水文・水資源に関する機能が重視されたことから、河川沿いの低地水田が多い集落が農地保全の必要性の高い集落として分類された。

[成果の活用面・留意点]
1. 分類結果は対象地域内での相対評価に基づくものである。行政機関において農地保全事業実施の優先地区を検討する際に参考にできるほか、地域営農システム構築などの際の地元住民への説明資料にも利用できる。
2. 対象範囲は流域を基本とし、評価式で必要とされるメッシュデータが必要となる。
3. AHPによる重要度評価の主体は、対象地域を管轄する行政機関の担当者のほか、地域の環境NPOや住民の代表者等、評価対象範囲の全農地の状況を把握し、かつ客観的な評価ができるものとする。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:環境保全機能評価による農山村地域の保全基準策定とマッピング手法の開発
予算区分:県単
研究期間:2002~2004年度
研究担当者:糀谷 斉
発表論文等:1)糀谷・加藤(2004)農村計画論文集第6集55-60

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