遡上効果が高く、施工が容易で安価な魚道


[要約]
市販の半円形ポリエチレン製コルゲート管と、その溝に脱着可能な隔壁を挿入して構成した魚道は、簡単かつ安価に作製でき、魚道内の堆積土砂等を除去できる。また、魚類はコルゲート管の溝に待機しながら遡上する。

[キーワード]魚道、メダカ、タモロコ、ドジョウ、農業水路、水田、コルゲート管

[担当]愛知農総試・環境基盤研究部・環境安全グループ、農業工学グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・作業技術、関東東海・総合研究
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 水田や農業水路からなる水域ネットワークは、多くの淡水魚類にとって重要な生息場所であったが、近年の圃場整備事業により水田と農業水路間の落水桝や農業水路内の落差工が設置され、魚類の遡上が妨げられている。落差のある場所での魚類の遡上には魚道の設置が必要であるが、従来の魚道はコンクリート製で施工性が悪く、土砂が堆積しやすかった。そこで、自然再生に取り組む住民及び農家が簡単かつ安価に施工でき、対象魚類が有効に遡上でき、維持管理が容易にできる魚道を新たに開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 開発した魚道は、魚道本体として使用する市販のポリエチレン製半円形コルゲート管またはポリエチレン製角型U字溝と、その溝中に挿入する脱着可能な隔壁とで構成する(図1)。
2. 魚道の幅、水深および流速は、重要な魚道の設計条件である。魚道幅は、コルゲート管においては口径100~2000mm、角型U字溝においては幅180~600mmから選択する。水深と流速の確保は、隔壁の挿入間隔や角度を調整して柔軟に対応できる。なお、隔壁は魚類の遡上に合理的な蛇行流を形成する千鳥配置とする(図1)。
3. 隔壁が取り外せるため、魚道内の堆積土砂等を除去しやすい。(図1)。
4. 口径250mmの半円形ポリエチレン製コルゲート管とラワン合板製隔壁とで魚道を作製した場合、1m当たり約3.5kgと軽量で施工性が良く、約2,200円と安価である。
5. 口径250mmの半円形ポリエチレン製コルゲート管で作製した魚道では、タモロコ、メダカ、ドジョウは、通水量50~500ml/s(隔壁越流部水深1.3~3.8cm、同流速32~48cm/s)で遡上できる。また、ドジョウは這って遡上できるため、越流水深が最小の1cmとなる25ml/sでも遡上率が高い(図2)。
6. 魚類は、水流の淀みや身を隠すことができるスペースを待機場所として遡上するが、本魚道では特に、水深が大きく低流速である溝中を格好の待機場所としている(図3表1)。なお、ポリエチレン製のコルゲート管と角型U字溝は黒色であるため、遡上魚は鳥などの捕食者から見つかりにくい。

[成果の活用面・留意点]
1. コルゲート管の口径または角型U字溝の幅、隔壁の形状と配置を選択することにより、水田の落水口、農業水路や河川における落差部の魚道として広範囲に適用できる。
2. 魚道本体の設置勾配は20°前後とする。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:自然再生のための住民参加型生物保全水利施設管理システムの開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2003~2007年度
研究担当者:田中雄一、加藤宏明、榊原正典
発表論文等:2005年2月特許出願(2005-46624)

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