肥育牛におけるイタリアンライグラスストローの給与


[要約]
交雑種(黒毛和種♂×ホルスタイン種♀)の肥育期にイタリアンライグラスストローを給与すると、血中ビタミンAを低下させることができ、肉質への影響も少ない。そのため、やや歩留まりが悪くなるが、稲わらの代替粗飼料となる。

[キーワード]肉用牛、粗飼料、イタリアンライグラス

[担当]愛知農総試・畜産研究部・牛グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 肉牛の肥育期の粗飼料には、稲わらを使うのが一般的である。しかし、国内で流通している稲わらの多くは輸入品で、安全性や流通に不安があり、稲わらに代わる粗飼料が求められている。そこで、稲わらと同様にβカロテン含量の少ない粗飼料として、イタリアンライグラスストロー(以下IRS)を使った給与試験を行い、増体性や肉質への影響を調査する。

[成果の内容・特徴]
 交雑種雌牛10頭を稲わら区とIRS区に分け、それぞれ稲わらとIRSを13ヵ月齢から出荷(約28か月齢)まで給与した。濃厚飼料はストールフィーダを用いた個別給与で、給与量は月齢に応じて増給し、おおむね飽食とした。粗飼料は稲わら及びIRSを自由採食とし、不断給与した。また、14ヵ月齢まで両区にヘイキューブを2kg/日給与した。
1. 期間中の粗飼料摂取量はIRS区が多く、濃厚飼料摂取量は稲わら区が多い(表1)。
2. 増体は、肥育前期には稲わら区が大きく、肥育後期にはIRS区が大きい(表2)。
3. 脂肪交雑等級や肉色には差がなく、肉質への粗飼料の影響は見られないが、枝肉形質では、IRS区は稲わら区に比べロース芯が小さく、筋間脂肪が厚くなる傾向にあり、そのため歩留まりが悪い(表3)。
4. IRS区ではヘイキューブの給与を止めて約5ヵ月後の血漿中ビタミンA濃度が、68.2IU/dlまで低下しており、IRSでも血漿中ビタミンAを下げることは可能である。
5. IRSは稲わらに比べ単価は安いが、飼料摂取量が多いため、飼料費に差がない(表4)。両区の粗収益の差は、枝肉販売額の差におおむね等しいため、粗収益を上げるためには、IRSに適した飼料を給与し、枝肉形質を改善させる必要がある。
6. IRSは、稲わらに比べ粗剛性に欠け、反芻刺激やあい気刺激が少ないため、稲わら給与時に比べ腹部の左方上部が膨らみ、鼓脹傾向になる。

[成果の活用面・留意点]
1. 鼓脹症の発生に気を付け、必要に応じて第一胃刺激器具を投与するなどの予防措置を講じる。また、IRS給与時には第一胃での発酵が緩やかになるような飼料設計をする。
2. ライグラス類には内生菌(エンドファイト)中毒の危険性があるため、多給する場合は飼料の由来に留意する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:交雑雌牛の肥育技術の確立
予算区分:県単
研究期間:1998~2003年度
研究担当者:森下忠、瀧澤秀明、石井憲一、松井誠
発表論文等:1)森下ら(2004)愛知農総試研報36:69-74

目次へ戻る