稲発酵粗飼料TMRロールベールサイレージの乳牛用飼料価値


[要約]
稲発酵粗飼料を素材にした混合飼料(TMR)を細断型ロールベーラで調製したTMRサイレージは、乳酸発酵が顕著に高まり、発酵ロスによるエネルギー価の低下はなく、夏季暑熱時の泌乳牛への給与において良好な採食量や乳生産が確保できる。

[キーワード]稲発酵粗飼料、TMR、サイレージ、乳用牛、飼料価値、乳生産、夏季

[担当]三重科技セ・畜産研究部・大家畜グループ
[連絡先]電話0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 稲発酵粗飼料(イネWCS)利用における栄養バランス、省力性、保存性等の改善のために、イネWCSを主体とするTMRを細断型ロールベーラを用いて調製したロールベールサイレージ(以下本文中では発酵TMR)の乳牛用飼料価値や夏季暑熱時における乳生産に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
 イネWCS(品種:ホシアオバ)を乾物で約20%混合したTMRを細断型ロールベーラで成形後密封し3~4週間程度貯蔵した発酵TMRを2種類調製し(表1)、同じ飼料内容で給与直前にTMR調製した未発酵の通常TMRと比較する乾乳牛2頭を用いた乱塊法による出納試験(1期2週間)と、夏季暑熱時に泌乳牛6頭を用いたクロスオーバー法による飼養試験(1期3週間)の成果を以下に示す。
1. 細断型ロールベーラを用いることで、養分含量の高い泌乳牛用のTMRでも品質劣化がなく揮発性塩基態窒素(VBN)割合の低い乳酸生成が顕著に促進された高品質な発酵TMRが調製できる(表1)。
2. 発酵TMRの発酵過程における養分損失による乾物消化率の低下は認められず、乾物中の可消化養分総量(TDN)含量は通常TMRと差はない(表2)。
3. 発酵TMR給与時に第一胃内の異常発酵は認められず、通常TMRに比べプロピオン酸比率が高まる(表34)。血中尿素窒素(BUN)濃度も正常値で、窒素出納や菌体窒素合成量も通常TMRと差がないことから、TMRの発酵過程におけるタンパク質の可溶化や易利用性炭水化物量の減少は少なく、第一胃への窒素と炭水化物の供給量および両者の分解性に問題はないと考えられる(表3)。
4. 夏季において発酵TMRは泌乳牛の嗜好性が良く、通常TMRよりも乾物摂取量が増加し乳量や乳成分生産量も増加する傾向がある(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. TMRセンターにおける貯蔵性の改善および夏季乳牛用飼料として活用できる。
2. 本成果は細断型ロールベーラを用いて調製した発酵TMRの結果であり、他の方式で調製した場合は別途検討が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:飼料イネのTMRロールベールサイレージ化による乳牛への給与技術の開発
予算区分:国庫委託(ブランドニッポン3系畜産)
研究期間:2003~2005年度
研究担当者:山本泰也、乾清人、浦川修司、平岡啓司、富田智明、田中浩二、西川周司、中西博司、前澤卓

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