透湿不透水シートを用いた肉用牛簡易堆肥化法


[要約]
透湿不透水シートと堆肥底面からの間歇通気を組み合わせた、肉用牛ふんの簡易な堆肥化施設。シート表面から水分を蒸散し、臭気の揮散を防ぎ、16週で推奨基準を満たす堆肥ができる。

[キーワード]肉用牛、簡易堆肥化施設、透湿不透水シート、下部送風

[担当]埼玉農総研・畜産研究所・環境資源担当
[連絡先]電話048-536-0311
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 肉用牛ふんの堆肥化は、処理量が多い上に敷料の分解に時間を要し、広大な面積と長い堆肥化期間を要する。そこで、肉用牛ふんを速やかに堆肥化できる、透湿不透水シートを用いた低コストな簡易堆肥化法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 原料を堆積する堆肥盤は、地面に防水シートを敷いて土を盛り、鎮圧する。堆肥を覆うシートには透湿不透水性のものを使用し、有孔塩ビパイプを堆肥底面に埋設して間歇通気する。通気はロータリーブロアでタイマー制御する(図1)。透湿不透水性シートで被覆することによって、堆肥中の水分は上部に移行しながらシート表面から水蒸気として放出され、全体の水分は徐々に低下する。下部は高温時の通気で乾燥し、その後も結露水等は下部に滞留しない(図2)。
2. 本方法では、年間処理量を185tとすると、建設費192,000円、設備機器費1,520,000円、維持管理費7,200円/年で、年間1頭当たり10,563円(肉用牛20頭規模)である。
3. 畜舎から搬出したふんと敷料(オガクズ)を高さ1mに堆積し、6、8、10週目に切り返すことで発酵が促進される。例えば、夏期の発酵温度は堆積直後に全体が最高温度に達し、切り返しにより再上昇しながら暫時低下する(図3)。なお、積込み時の水分が77%と高かった冬期の例では、初期に温度は上昇しなかったが、4週目にハウス乾燥・再堆積したところ60℃以上に上昇した(図4)。
4. 堆積後は有機物率が徐々に低下し、切り返した6週目以降速やかに分解する(図5)。また、16週間の堆肥化でコマツナ種子発芽率は100%で、肥料成分は堆肥の推奨基準を満たす品質になる。なお、EC値が高いのは尿が含まれるためと推察される(表1)。
5. シート表面のアンモニア濃度は内部の堆肥表面よりも低く推移し(図6)、また、通気により堆肥全体が好気的になるため快不快度は4週目に改善される。

[成果の活用面・留意点]
1. 小規模肉用牛農家の簡易堆肥化法として利用できる。また、中規模肉用牛農家では、既存堆肥舎の前処理施設として利用すると、切り返し時の臭気発生を抑制できる。
2. 積込み時の水分を75%以下に調整する。通気間隔は、初期はインターバルを短く、通気回数を多くして、発酵温度を観察しながら徐々にインターバルを長くする。なお、堆肥を施用する場合は、成分を把握し適正に利用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:透湿不透水シートを用いた簡易低コスト堆肥化技術の検討
予算区分:県単
研究期間:2003年度
研究担当者:崎尾さやか、小森谷博、宇田川浩一
発表論文等:崎尾(2004)平成15年度全国農業システム化研究会現地実証調査成績書:138-139.

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