簡易土間工法堆肥舎でのコンプレッサーと通風パイプを用いた堆肥化処理


[要約]
防水シートと骨材チップ資材を使用し配筋と割栗工程のいらない土間コンクリート工法を利用した堆肥舎において、エアーコンプレッサーとパイプをホースで繋ぎ、堆肥にパイプを挿入して通風する可動式通風装置を利用することにより、初期投資が少なく省力的な堆肥化が可能である。

[キーワード]簡易低コスト、堆肥舎、通風、コンプレッサー、家畜ふん尿

[担当]千葉畜総研・生産環境部・環境保全研究室
[連絡先]電話043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 家畜排せつ物法の制定により素堀・野積みが禁止され、家畜排せつ物の早急な処理施設の整備及び適切な処理・利用技術の普及定着が求められているが、簡易で効率的な処理・利用技術に対する要望が強い。そこで、特に施設整備へ投資しにくい中小規模農家で望まれている、経済的負担の少ない簡易で低コストな施設並びに労働負担の軽い処理方法に対応できる施設及び処理方法を開発・実証する。

[成果の内容・特徴]
1. コンクリートと密着する防水性の底面シートを設置し、ポリプロピレン製繊維の骨材チップ混入のコンクリートを床面として打設する。壁面はプレキャスト擁壁、屋根は園芸用パイプハウスを利用して建築する。底面シートと骨材チップが、コンクリートの曲げ強度を高め、クラックが起こりにくく、軟弱地盤でも設置が可能である。また、割栗石と配筋なしで床面を打設するため、資材費・設置手間・労賃が節約できる。搾乳牛15頭規模で、間口9m×奥行き9m(パイプハウス部7m)の建築費は153万円である。
2. エアーコンプレッサーに耐圧ホースとステンレス製のパイプを繋ぎ、パイプを堆肥の任意の場所に挿し込んで通風し堆肥化を促進する。パイプを堆肥のどこにでも挿入できるので、部分的に高水分の箇所にも通風でき、切返しの手間がかからず堆肥化が促進できる。また、床面に固定化した通風装置のような目詰まりが起こりにくい。搾乳牛15頭規模で、通風用パイプを16本作成し、2.2kWコンプレッサーと併せて設置費は37万円である。
3. 生牛ふんにモミガラを混合して水分78%とし、可動式通風装置による通風を、一日当たり30分×3回、堆肥1m3当たり50L/分とし、数日に1回パイプの位置を挿し替えて堆肥化したところ、温度上昇と有機物の分解及び排汁の排出が見られ、堆肥化が進行した。対照区として設置した週1回の切返し区と比較するとやや劣るものの良好な発酵状態が得られる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. ハウスを閉め切ると熱とガスが充満するので、換気に注意する。特に夏季にはハウス内が高温になるので、作業中は寒冷紗などの日よけが必要である。
2. パイプを挿し込んで少し戻すと空気が通りやすくなる。同じ箇所にパイプを挿し込んだままだと、乾燥しすぎて抜けにくくなるので、数日間で他の箇所に挿し直す。パイプを挿し込む場所により、発酵ムラができるので、均質になるよう位置に注意する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:簡易低コスト堆肥化施設の開発・実証
予算区分:(財)畜産環境整備機構受託事業
研究期間:2003~2004年度
研究担当者:杉本清美、大泉長治

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