もどし堆肥添加による牛ふん堆肥化過程での悪臭発生の低減


[要約]
完熟堆肥を副資材として添加するもどし利用は、堆肥化過程で発生するアンモニア臭気を低減する効果がある。

[キーワード]家畜ふん尿、もどし堆肥、アンモニア

[担当]栃木畜試・畜産技術部・畜産環境研究室
[連絡先]電話028-677-0015
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 近年の酪農経営では、発酵乾燥させた堆肥を副資材(敷き料)としてもどし利用する事例(もどし堆肥)が増えている。そこで、もどし利用による臭気低減効果を確認するため、もどし堆肥を添加したふんを堆肥化する過程で発生する悪臭成分濃度を経時的に調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 新鮮な搾乳牛ふんを主原料に、強制通気式密閉型の小型堆肥化実験装置を用いて堆肥化を行い、アンモニアおよびイオウ化合物臭気の発生状況を経時的に調査した。
試験区は新鮮ふんともどし堆肥の混合割合が乾物比で2:1(H区)、同様に1:1(S区)の二区を設け、もどし堆肥を混合しない区を対照区とし、それぞれ堆肥化開始時の水分率がほぼ一定(約70%)となるようオガクズとモミガラを添加した。装置へは新鮮ふんとしての充填量が3kgとなる混合物相当量を充填し、堆肥化は14日間として途中7日目に切り返しを行った(表1)。
2. 各区とも堆肥化開始から約24時間後に最高温度を示し、対照区は47.2℃、H区が53.1℃、S区が54.9であった。発酵温度ならびに試料の化学性の変化から、いずれの区も堆肥化が進んだと判断でき、また対照区よりもHおよびS区が、より発酵が進んだといえる(表2)。
3. アンモニア濃度は、堆肥化開始から2~3日後にピークを示し、期間中は総じて両試験区が対照区よりも低濃度で推移する傾向にあった(図1)。また期間中に揮散したアンモニア量は、対照区554.1mg、H区425.8mg、S区386.0mgであり、開始時における新鮮ふん窒素量に対する割合は、それぞれ4.9%、3.8%、3.4%であった(表3)。
以上から、完熟堆肥を副資材として添加するもどし利用は、堆肥化過程で発生するアンモニアを低減する効果があると考えられる。
4. 一方、イオウ化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル)については、もどし堆肥添加による臭気低減効果は確認されなかった。

[成果の活用面・留意点]
1. これまでにももどし堆肥の敷き料利用は、大腸菌繁殖の抑制効果や乳房炎予防策といった衛生対策として、フリーストールやフリーバーン形態の酪農経営で導入されていることから、本成果は、これら酪農経営におけるもどし利用の有効性に資するものである。
2. 特に、敷き料にもどし堆肥を利用する場合、未熟なものや発酵による昇温が不十分なものは病原性菌が多く残存している可能性があり、家畜疾病発生を拡大させる危険性があることから、十分な好気発酵とそれにともなう昇温を経た堆肥を用いるべきである。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:もどし堆肥利用による環境負荷要因の解明
予算区分:県単
研究期間:2001~2003年度
研究担当者:北條 享

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