ニホンナシ「幸水」における花芽制限および省力器具による作業時間の短縮


[要約]
ニホンナシ「幸水」において、せん定・誘引時に1m2当たりの花芽数を21個に制限した場合、慣行栽培(26~28花芽/m2)と比べ、せん定・誘引から摘果までの10a当たり作業時間を約15時間短縮できる。さらに、摘蕾時の下芽の芽かきおよび誘引結束機や人工受粉機の使用によって、10a当たり作業時間を合計で約28時間短縮できる。また、以上の制限や処理を行っても、収量減にはならない。

[キーワード]ニホンナシ、幸水、省力、花芽数

[担当]富山農技セ・果樹試験場
[連絡先]電話0765-22-0185
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 富山県のニホンナシ産地では「幸水」が全体の約7割を占めており、作業が一時期に集中するため、作業時間の短縮が課題となっている。そこで、現状の収量を維持し、かつ慣行栽培より作業時間の短縮が可能な栽培手法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. せん定・誘引時に、花芽数を14個/m2までに制限した場合(14花芽制限区)は、慣行(対照区)と比べ収量は減少するが、21個/m2に制限した場合(21花芽制限区)は、収量減にはならない(図1)。花芽数制限作業は、主として、慣行より側枝を少なくする等で可能である。なお、慣行での側枝間隔は約35cmであり、21花芽制限区の側枝間隔は40~45cm、長果枝の長さは約1mを目安とする。
2. せん定・誘引時に花芽数を21個/m2に制限し(以下、21花芽制限下)、さらに摘蕾時に下芽の芽かきを行っても、収量は減少せず、また、大玉生産の効果が認められる(図2)。
3. せん定・誘引作業時間(10a当たり)は、21花芽制限下では、慣行より3.1時間短縮でき、さらに、誘引結束機(P社製AP-25)を使用した場合は9.1時間短縮できる(表1)。
4. 受粉作業時間は、21花芽制限下では、慣行より2.3時間短縮でき、人工受粉機(M社製回転式羽根梵天SK-4)を使用した場合は5.0時間短縮できる。なお、受粉作業時間は受粉を行った時間のみであり、花粉の採取および調製の時間は含まない。
5. 摘果作業時間は、21花芽制限下では、慣行より予備摘果5.8時間、仕上げ摘果3.3時間、計9.1時間短縮できる。さらに、下芽の芽かきを行った場合は、予備摘果15.3時間、仕上げ摘果4.7時間、計20.0時間短縮できる。
6. 以上のことから、せん定・誘引時に花芽数を21個/m2に制限すると、せん定・誘引から摘果までに要する合計作業時間が慣行より14.7時間、約8%短縮され、さらに、摘蕾時の下芽の芽かきおよび誘引結束機や人工受粉機の使用により13.1時間短縮され、合計27.8時間、約16%短縮できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 長果枝利用率が平均60%(48~66%)、予備枝から発生した長果枝の花芽率が平均45%(35~52%)、着果量が10果/m2である場合の試験成果であり、極端に樹勢の弱い樹では、総芽数が少なくなり、樹勢低下を招く恐れがあるので、せん定による花芽制限は行わない。
2. 予備摘果(1果そう1果)は満開後約30日まで、仕上げ摘果(着果量:10果/m2)は満開後約50日までに行う。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ニホンナシ「幸水」における花芽制限等による省力栽培に関する研究
予算区分:県単
研究期間:1998~2002年度
研究担当者:徳満慎一、土井祐樹、平野門司

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