相対光量子束密度によるニホンナシ「幸水」の樹相評価


[要約]
ニホンナシ「幸水」において光量子センサーにより相対光量子束密度を測定することで、新梢の混み具合を簡易に評価できる。また、収量および果実重に優れる樹は相対光量子束密度がせん定後で85%~90%、新梢停止後で25%~40%の領域に多く分布する。

[キーワード]ニホンナシ、幸水、光量子

[担当]福井農試・果樹研究グループ
[連絡先]電話0776-54-5100
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 果樹の栽培において適切な管理を行うには樹相を診断する能力を必要とするが、これは篤農的な技術で習得には長年月の経験を要する。そこで、ニホンナシ「幸水」において客観的で簡易な樹相評価方法を開発するとともに、評価値と果実収量品質との関係について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 新梢停止後の相対光量子束密度は樹冠1m2あたり新梢長と密接な関係がある(図1)。このため、相対光量子束密度は新梢の混み具合を簡易に評価する指標として利用できる。
2. 植栽間隔5m×5mの樹において領域内を1m×1m間隔の25点で計測した平均値と、主幹から1.4mの距離において90°間隔の4点で計測した平均値はほぼ一致することから、4点の測定で樹冠全域の樹相を評価できる(表1)。
3. 相対光量子束密度は展葉期の4月上旬から徐々に低下し、新梢停止期の夏季に最低となる。生育初期の相対光量子束密度は園や樹による差は小さいが、樹冠や枝が混んでいるほど生育に伴う低下が大きいため、夏季における差異は大きい(図2)。
4. 調査樹を平均果重および収量によって優良樹、中庸樹および不良樹に区分すると、優良樹の多くはせん定後の相対光量子束密度が85%~90%、新梢停止後の相対光量子束密度が25%~40%の領域に分布する。一方、不良樹はせん定後で85%以下、新梢停止後で25%以下の領域に多く分布することから、せん定の程度や縮伐および間伐の実施時期を判断する目安として利用できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 相対光量子束密度は光量子センサーを用い、樹冠上部(全天)と樹冠下部(地上約30cm)で同時に光量子束密度を測定し、樹冠下部/樹冠上部(%)で求める。測定は影の出ない曇天時に行う。
2. 本試験では10~17年生の樹を供試している。このため、本手法は成木において利用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ニホンナシおよびカキ園地の樹勢・樹相診断技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2001~2004年度
研究担当者:坂川和也、山本仁、谷口弘行

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