廃液の出ないバラの2系統循環式養液栽培


[要約]
補給液用と循環液用の2つの系統で給液する2系統循環式養液栽培で、バラ「ローテローゼ」を栽培することで、養液を廃棄することなく、掛け流し式と同等の収量品質を得ることができる。

[キーワード]バラ、循環式養液栽培、2系統循環式、スプリットルート

[担当]静岡農試・園芸部
[連絡先]電話0538-36-1555
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 環境に優しい養液栽培を目指した循環式養液栽培確立のため、培養液を廃棄することなく従来の掛け流し式と同等の収量品質が得られる、新たな閉鎖型養液栽培方式を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 補給液専用と、循環専用の2系統の給液系統を持つロックウール栽培システムでバラ「ローテローゼ」を栽培すると(図12)、掛け流し式と同等の収量・品質を得ることができる(表1)。2系統循環式では、補給液は循環液に取り込まれ、循環液の根域部で肥料や水が消費されるため廃液は出ない。また、補給液は循環液タンクの水位に基づき行われるので、バラの蒸発散量に見合った給液が可能となる。
2. 循環方式で養液を交換しないでバラを栽培すると、処理開始4ヵ月後の12月から採花枝のクロロシス発生率が高くなり、5月には採花枝の75%がクロロシス発生株となり出荷不能となるが、2系統循環式栽培では、掛け流し式栽培と同様にクロロシスはほとんど発生しない(表2)。
3. 2系統循環式と循環式が同等の収量となる要因を解明するため、根域部を2つに分割し、一方の根域は掛流し給液、他方を循環式給液とするスプリットルート栽培によりバラを栽培すると(図3)、循環液の濃度を慣行の倍以上のEC4としても、掛け流しの根域部にEC0.8の養液を与えることで、切花品質・収量が改善する。このことから、根域部の一部が循環液の影響を受けにくい状態となることが、2系統給液の収量品質が循環式よりも優れる理由と推測される(図4)。
4. バラの掛け流し式ロックウール栽培では、給液の約30%は温室外に排出されるが、2系統循環式では廃液が出ないため、排出される肥料はまったく無い。
5. 慣行の掛け流し栽培のシステムからの移行が、比較的容易である。

[成果の活用面・留意点]
1. 「ノブレス」でも同様の結果が得られる。
2. 循環液用のチューブは、根などからの老廃物でつまりが生じるため、フィルターの設置が必要である。
3. 病原菌に対する検討は行っていない。
4. 1年間の栽培の結果である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:低コスト長期栽培が可能なバラ閉鎖型養液栽培技術の開発
予算区分:県単
研究機関:2003~2004年度
研究担当者:佐藤展之

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