採種性の優れる疫病抵抗性台木用ピーマン新品種候補「試交0023」


[要約]
ピーマン「試交0023」は母親に雄性不稔系統を用いた採種効率が優れるF1雑種で、疫病及びToMVに抵抗性を有し、ピーマンの台木として利用できる。

[キーワード]ピーマン、台木、雄性不稔性、疫病抵抗性、ToMV抵抗性

[担当]長野中信農試・畑作育種部
[連絡先]電話0263-52-1148
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ピーマンの栽培では、疫病の発生が大きな問題になっている。現在、疫病抵抗性台木として「ベルホマレ」が広く利用されているが、ピーマンは採種効率が悪く採種農家が減少しているため、十分量のF1種子生産がなされていない。この要因として、ピーマンの除雄や交配作業に熟練を要することが挙げられる。そこで、省力的で安定した採種量と純度の高いF1種子を確保するため、母親に雄性不稔系統を利用し、「ベルホマレ」と同等の疫病抵抗性、ToMV抵抗性及び接ぎ木適性を有する台木用F1品種の育種を開始する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
「試交0023」は、「ピーマン中間母本農1号」を子房親とし、「ベルホマレ」の花粉親系統である「N-1-1」を花粉親としたF1雑種であり、ピーマンの台木用品種として利用できる。
2. 植物体特性
1) 早性は“早生”で、草丈は「ベルホマレ」より低く、分枝開張性は“中間”で、花は白く大きい(表1図1)。
2) 果形はベル形で「ベルホマレ」に似ているが、「ベルホマレ」と比べ、やや小さく種子数が少ない(表1図1)。
3) 病害抵抗性は、疫病及びToMV(tobamovirus pathotype P0)に抵抗性である(表1)。
3. 台木特性
「試交0023」を台木に用いた場合の接ぎ木適応性を見ると、接ぎ木の活着率は93%で高く、「ベルホマレ」台と比べ、開花日、草丈、総収量は同等で、上物収量及び上物率は優れる(表2)。
4. 子房親に雄性不稔性系統の「ピーマン中間母本農1号」を用いているので、種子生産における除雄・摘花作業が軽減できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 病回避を目的とするピーマン接ぎ木栽培の台木に適する。この場合、穂木品種はtobamovairus抵抗性遺伝子としてL1を持つ品種を用いる。
2. 疫病は穂木に直接感染することがあるので、土耕栽培では水や泥の跳ね上げを防止するためマルチングを行う。
3. 枯病に抵抗性を持たないため、青枯病の発生地では利用しない。
4. 果実は果表面がやや乱れるので、生食用に不向きである。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:野菜の品種・栽培に関する試験
予算区分:県単
研究期間:2000~2004年度
研究担当者:矢ノ口幸夫、松永 啓、村山 敏、岡本 潔

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