四季成り性イチゴ新品種「サマープリンセス」の育成


[要約]
イチゴ新品種「サマープリンセス」は四季成り性で、果実の形状や色沢などの果実品質が優れ、奇形果や乱形果が少なく収量性が高く、夏季冷涼な地域で7~11月に収穫する夏秋どり栽培に適した品種である。

[キーワード]イチゴ、四季成り性、夏秋どり、品質、収量

[担当]長野南信農試・栽培部、病害虫土壌肥料部
[連絡先]電話0265-35-2240
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 イチゴは7~11月の夏秋季にも業務用を主体に需要があるが、この時期は国内産の生産量がきわめて少なく、その多くは輸入に頼っている。しかし、輸入品は品質が悪いため高品質な国産イチゴの供給が求められ、高値で取り引きされている。そこで、夏秋どり栽培が可能で高品質な四季成り性品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
 1987年「麗紅」(一季成り)に「夏芳」(四季成り)を交配し、得られた四季成りの選抜系統「NE-1」に1993年「女峰」(一季成り)を交配した。その実生個体の中から四季成り性が安定し果実品質が良好なものを選抜し、1998年に「南農イチゴ1号」の系統名を付し、1999年に「サマープリンセス」と命名した(図1)。
2. 「サマープリンセス」の特性
1) 季性は四季成り、草姿は開帳性、草勢は強、小葉は大きく、四季成り性品種としてはランナーの発生が多く増殖は容易である。果形は円錐形で、果皮は明赤色で艶がある。果肉および果心色は黄白~白で、果実はやや軟らかい(表1)。
2) 収量は、「ペチカ」、「夏実」(HS-138)などの四季成り性品種と比較して、奇形果や乱形果・先青果の発生が少なく多収である(表2)。
3) 1果重は10g前後で、夏季の糖度(Brix値)は7~8%、酸度は0.8~0.9%である。秋季の糖度(Brix値)は10%を上回り、四季成り性品種としては食味がよい(表2)。
4) 主要病害に対しては、うどんこ病「弱」、炭疽病「強」、萎黄病「弱」である(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 栽培適地は、標高800m以上の夏季冷涼な地域である。
2. 心止まりが発生しやすいので、腋芽を除去しない、着果負担の軽減、水分や肥料(塩類)ストレスを与えない対策が必要である。
3. 果皮がやや軟らかいので適期収穫し、早朝の涼しい時間帯に収穫して予冷する。
4. 栽培にあたっては、育成者(長野県)の許諾を受ける。ただし、当面の間は長野県外への許諾は行わない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:野菜の高位安定栽培と品種選抜
予算区分:県単
研究期間:1987~2003年度
研究担当者:丸山 進、小澤智美、山口秀和、木下義明、矢澤義幸、江口直樹
発表論文等:1)品種登録(2003)-登録番号11,245号 2)長野県(2005.3)新しく普及に移す農業技術 http://www.alps.pref.nagano.jp/hukyu/index.htm

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