イチゴ新品種「美濃娘」の育成


[要約]
「女峰」と「宝交早生」の交配系統に「とよのか」と「濃姫」の交配系統を交配して得られたイチゴ新品種「美濃娘」は食味、硬度、外観等の果実品質が優れ、連続出蕾性が優れるため多収である。

[キーワード]イチゴ、新品種、促成栽培

[担当]岐阜農技研・栽培部
[連絡先]電話058-239-3133
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 岐阜県のイチゴは美濃地方平坦部を中心に栽培されており、本県育成の大果・良食味な「濃姫」が6割を占め、その他に「女峰」「とちおとめ」等が栽培されている。栽培面積の減少で、品種の集約化が振興策にあげられる中、その他品種に代わる新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
 果形・食味が良く、果実が硬い系統63-2-3(「女峰」×「宝交早生」)を子房親に、大果・良食味で多収な系統3-31-3(「とよのか」×「濃姫」)を花粉親にして、平成9年に交配した。その中から選抜した有望系統9-4-3について、特性試験、作型適応性試験、現地適応性試験を実施し、育種目標を満たすことを認め、平成16年3月に品種登録の出願を行った(図1)。
2. 特徴
1) 草型は軽度の開帳性で、草勢はやや弱い(表1)。休眠は浅く、休眠覚醒低温要求時間は250時間程度である。
2) ランナーの発生数は多い(表1)。親株と第1子株間、子株間のランナー長は短い。ランナーの節から発生するランナーは比較的太く、生産株として使用できる。
3) 腋芽の発生は多く、芽無し株はほとんど発生しない。
4) 花芽分化は、岐阜地域で9月15日頃となり、「濃姫」より3日程度遅い。収穫始期は、ポット育苗による促成栽培で11月下旬である。頂果房の果柄の長さは短い。1果房の着果数は少なく、頂果房で10果程度である(表1)。
5) 初期収量はやや少なく、連続出蕾性に優れているため総収量は5,218kg/10aと多収である(表2)。
6) 果形はやや短円錐形、果皮は明るい赤色でつやが良い。4月末までの平均果重は16.2g、果肉は硬く、緻密・なめらかで食感が優れる(表2)。
7) 1作期平均の果実硬度は「濃姫」より硬い。糖度は「濃姫」等よりやや低いが、糖酸比は同程度である。果汁のビタミンC(アスコルビン酸)含量は、作期を通じて高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 果柄を伸長させ、収穫作業を容易にするために頂果房出蕾直後と、熟期促進のため休眠に入る前後にジベレリン処理を行う(表3)。
2. 「美濃娘」は、「岐阜県登録品種種苗許諾運営要領(平成11年4月1日付け科第2号)」により、他県への種苗配布が可能である。
3. 炭疽病、萎黄病、うどんこ病に対する抵抗性はない。また、葉に苦土欠症状が発生することがある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:イチゴの新品種育成と原々種生産
予算区分:県単
研究期間:1997~2004年度
研究担当者:越川兼行、安田雅晴、猪原由久、長谷部健一
発表論文等:1)猪原ら(2004)育学雑 6別2:243
      2)猪原ら(2004)園学雑73別2:402

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