夏播き栽培に向くトルコギキョウの弱ロゼット性系統の育成


[要約]
γ線照射と高温育苗選抜により育成された弱ロゼット性系統No.1~3は、夏播き栽培において安定して高い開花株率を示す。また、その弱ロゼット性は雑種後代において優性的に発現する。選抜3系統は夏播き用品種開発の中間母本として有望である。

[キーワード]トルコギキョウ、ロゼット、抽だい、温度、放射線育種

[担当]東京農試・園芸部・植物バイテク研究室
[連絡先]電話042-524-3191
[区分]関東東海北陸農業・生物工学
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 近年の有望花きの一つであるトルコギキョウは、育苗期の高温遭遇によりロゼット化する性質がある。現在、夏播き栽培では夜冷育苗や苗冷蔵等の栽培技術によりロゼットを回避しているが、育苗の低コスト化・省力化・期間短縮のためにロゼットしない品種の開発が望まれている。そこで、種子へのγ線照射による突然変異誘発と高温育苗選抜により弱ロゼット性系統の育成を行う。

[成果の内容・特徴]
1. 1999年、強ロゼット性の固定品種‘天竜乙女’の乾燥種子に100~250Gyのγ線(60Co)を照射した。照射後代を昼夜25℃以上の高温条件で育苗して、ロゼットせずに節間伸長する個体の選抜を行った。2世代にわたる選抜の結果、250Gy区から弱ロゼット性の有望系統No.1~3が得られた(表1)。
2. 2002~2004年の夏播き栽培における選抜系統の開花株率を図1に示す。親品種‘天竜乙女’およびロゼットしにくいF1品種‘つくしの羽衣'の開花株率は、冷夏の2003年には高率であるものの、試験年度・場所によって高低が大きく不安定である。一方、No.1~3の開花株率は83~100%と安定して高く、その弱ロゼット性はほぼ固定している。
3. No.1~3と‘天竜乙女’との雑種後代は、夏播き栽培において高い節間伸長株率を示す(図2)。このことから、No.1~3の弱ロゼット性は優性または不完全優性形質であると示唆される。
4. No.1~3の花は濃桃単色・一重咲きである。No.1~3の弱ロゼット性以外の切花形質は‘天竜乙女’とほぼ同等であるが、No.3は切花重・切花長について親品種よりも優れる(図3)。
5. 以上、No.1~3はγ線照射により親品種のロゼット性を改良して育成された系統であり、ロゼットしにくい品種開発の育種素材として有望である。

[成果の活用面・留意点]
1. 選抜系統No.3は品種登録出願準備中である。
2. 選抜3系統を中間母本として、夏播き栽培に適したロゼットしにくいF1品種を開発する予定である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題:特産園芸作物における突然変異誘導法の開発
予算区分:都単
研究期間:1997~2003年度
研究担当者名:宮下千枝子、南晴文、栄森弘己

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